贈与と相続、どちらが得?ケース別に税理士が徹底比較サムネイル画像

贈与と相続、どちらが得?ケース別に税理士が徹底比較

税理士 林遼平

税理士 林遼平

「今のうちに贈与した方がいい?それとも相続でまとめるべき?」

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

京都の経営者や不動産オーナーの方から、
「贈与と相続、どっちが得なんですか?」というご相談をよくいただきます。

確かに、相続税の負担を軽くするために「生前贈与」を活用する方が増えています。
しかし、すべてのケースで贈与が有利とは限りません。

たとえば、

  • 贈与を急いだ結果、税率が高くついた

  • 将来の相続税で二重課税のような形になった

  • 名義変更や契約書が不十分でトラブルに発展した

というケースも少なくありません。

この記事では、京都の税理士法人ビジョン・ナビが、
「贈与が有利なケース」「相続が有利なケース」を比較しながら、
それぞれのメリット・デメリットを徹底解説します。

そもそも「贈与」と「相続」はどう違うのか?

贈与とは?

贈与とは、生前に財産を他の人へ無償で譲る行為です。
主に「子どもや孫に資産を前渡ししておきたい」ときに利用されます。

  • 毎年110万円までは非課税(暦年贈与)

  • 教育資金・結婚資金・住宅取得資金の非課税制度も利用可能

  • 生前に準備ができるため、財産の分け方を自分で決められる

ただし、贈与税は相続税よりも税率が高いことが多く、
節税効果を狙う場合は「長期計画」が必要です。

👉 参考:[国税庁・贈与税のしくみ

相続とは?

相続とは、亡くなった人の財産を法定相続人が引き継ぐことです。

  • 相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

  • 配偶者は最大で1億6,000万円まで非課税となる特例あり

  • 手続きは発生後に一括して行う

贈与に比べると、税率が低めで制度も安定しているため、
資産額や家族構成によっては、相続のほうが有利な場合もあります。

ケース別|贈与と相続、どちらが得か?

ケース① 資産が多く、将来的に相続税がかかる場合 → 贈与が有利

不動産や預金が多い場合、相続税の基礎控除を超えることが確実であれば、
早めの生前贈与で分散しておくのが有効です。

対策内容 メリット
毎年の暦年贈与 少額をコツコツ贈与し、累積で大きな節税効果
住宅資金贈与 子や孫の住宅購入を支援しながら節税
贈与税+相続税の総合試算 税理士が全体最適を設計

特に京都のように地価が高い地域では、不動産の評価額が高く出やすいため、
早期の贈与シミュレーションが有効です。

ケース② 財産が少なく、相続税が発生しない見込みの場合 → 相続が有利

総資産が基礎控除(例:法定相続人2人なら4,200万円)以内であれば、
無理に贈与をする必要はありません。

なぜなら、贈与税は少額でも相続税より税率が高いため、
結果的に「贈与した方が損」になるケースが多いからです。

この場合は、遺言書の作成や財産の名義確認など、
手続きの明確化に重点を置くのが賢明です。

ケース③ 家族間のトラブルを避けたい場合 → 贈与+遺言の併用が有効

財産を「誰にどの割合で渡すか」を明確にしたい場合、
贈与を活用して生前に一部の財産を分けておくと安心です。

たとえば、

  • 自宅を長男に贈与

  • 預金を次男に残す

  • その内容を遺言で補足

といった形で整理しておくと、相続発生時の揉め事を防ぎやすくなります。
税理士・司法書士のサポートを受けながら、「税」と「気持ち」の両面から設計することが重要です。

贈与と相続の比較表

比較項目 贈与 相続
タイミング 生前 死後
税率 高い(最大55%) 比較的低い(最大55%だが控除が大きい)
手続き 贈与契約書が必要 相続開始後に一括申告
メリット 生前に財産分割・節税ができる 税負担が軽く、制度が安定
デメリット 贈与税が重い・手続きが煩雑 相続発生後のトラブルが起きやすい
向いている人 高資産層・不動産所有者 小規模資産・相続税非課税世帯

よくある質問(Q&A)

Q1:生前贈与を始めるなら、いつからが理想ですか?

A:60歳前後からの計画的な贈与が理想です。
1年ごとの贈与額を調整しながら、10年単位で節税効果を高めることができます。

Q2:相続時精算課税制度とは何ですか?

A:60歳以上の親が20歳以上の子へ贈与する場合に使える制度で、
2,500万円まで贈与税が非課税となります。
ただし、一度選択すると暦年贈与に戻せないため、慎重な判断が必要です。

👉 参考:[国税庁・相続時精算課税制度]

「損得」よりも「バランス」で考える相続対策を

贈与と相続、どちらが得かは“家族構成・資産規模・将来設計”によって異なります。
単に「税金が安い方」ではなく、「家族が安心できる方」を選ぶことが大切です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、京都のご家庭・企業オーナー様向けに、

  • 贈与・相続の比較シミュレーション

  • 贈与契約書・遺言書の整備サポート

  • 家族全体の資産設計と節税アドバイス

を行っています。

👉 【無料相談はこちら】贈与と相続の最適プランを税理士が診断お問い合わせフォーム

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。