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支払調書の提出が必要なケースと不要なケース|法人・個人事業主向けガイド

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「支払調書って自分にも提出義務があるの?」 「どんな取引が対象になるのかよく分からない…」

こうした疑問をお持ちの中小企業経営者や個人事業主の方は多いのではないでしょうか?

支払調書は、税務署に提出する「支払いの証明書類」です。しかし、すべての支払いやすべての事業者が対象になるわけではありません。

この記事では、「支払調書が必要なケース・不要なケース」を中心に、具体的な例や注意点、提出のタイミングなどをやさしく解説します。

支払調書とは?その役割と目的

支払調書とは何か?

支払調書とは、事業者がフリーランスや他の事業者などに支払った報酬や料金などの金額を記載し、税務署に提出する書類です。受け取った側の「所得税計算」にも関係する重要な資料です。

なぜ支払調書が必要なのか?

税務署が正確な課税処理を行うために、支払者が支払状況を報告する必要があるからです。特に、源泉徴収を行った報酬や料金の支払いについては、税務署に内容を報告する責任があります。

提出が必要なケースとは?

主な提出対象となる支払い

以下のような支払いには、支払調書の提出義務があります:

  • 弁護士・税理士などへの報酬(源泉徴収が必要)

  • 外注のフリーランスに対する業務委託料

  • 原稿料や講演料

  • 不動産の使用料、賃借料

これらの支払いは「報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書(法定調書)」に該当します。

法人も対象になるのか?

はい、法人も個人事業主も支払者であれば提出義務があります。ただし、一定の条件下で不要になるケースもあるため注意が必要です。

提出が不要なケースとは?

対象外の支払いとは?

以下のような支払いは支払調書の提出対象外です:

  • 給与や賞与(別の様式で処理)

  • 法人に対する支払いで一定の要件を満たす場合<国税庁>

  • 消費税相当額のみの支払い

また、支払金額が一定額に満たない場合(例:5万円未満の講演料など)も、提出義務が免除されることがあります。

判断に迷ったら?

国税庁のガイドラインを確認するか、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

【参考リンク】

ポイント整理

項目 提出が必要 提出が不要
税理士への報酬 -
給与・賞与 - ○(別書類)
法人への外注費 条件により○/✗ 条件次第
5万円未満の講演料 -

よくある質問Q&A

Q1. 支払調書の提出期限はいつですか?

A. 通常、翌年1月31日が提出期限です。遅延するとペナルティが発生する可能性があるため、余裕を持った準備が必要です。

Q2. 提出義務を怠った場合の罰則は?

A. 罰則があります。例えば、所得税法242条では、支払調書の提出期限までに税務署長に提出せず、又はこれらの書類に偽りの記載若しくは記録をして税務署長に提出した者には一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処するとされています。

まとめ:正しい理解でリスク回避を

支払調書は、正しく提出することで税務リスクを軽減できる大切な書類です。対象や不要なケースをしっかり理解し、早めの準備を心がけましょう。

税理士法人ビジョン・ナビでは、支払調書の作成や提出に関するご相談も無料で承っております。お気軽にご連絡ください!

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。