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経理の属人化を防ぐ方法【チェックリスト付き】

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「経理担当が急に辞めたらどうしよう…」
「会社のお金の流れを把握しているのが一人だけで不安」
「月次決算が遅れるのも担当者次第になっている…」

中小企業で特に多い課題が “経理の属人化” です。
一人の担当者だけが

  • 仕訳

  • 請求書処理

  • 経費精算

  • 売掛・買掛管理
    のすべてを担っていると、退職・休職が起きた瞬間に業務が止まってしまいます。

しかし、正しい方法で仕組み化を進めれば、経理の属人化は防ぐことができます。
この記事では、中小企業がすぐ取り組める属人化防止策と、確認用チェックリストをわかりやすく紹介します。

■ 経理の属人化が生むリスクとは?

● 業務が止まる

担当者がいなければ、支払・請求・給与など、会社の根幹業務がストップします。

● ミス・不正が発見されにくい

一人に業務が集中すると、チェック機能が働かず、不正発生リスクも高まります。

● 経営判断が遅くなる

月次資料が担当者依存になるため、“決算が遅れる会社”の典型的な状態になります。

■ 属人化を防ぐ5つの基本戦略

① 業務フローを見える化(棚卸し)する

まずは「経理が何をやっているのか」を明確にすることから始めましょう。

例:

  • 毎月の仕訳入力

  • 請求書作成&送付

  • 経費精算チェック

  • 給与・源泉の手続き

  • 売掛金・買掛金管理

  • 資料の税理士提出

【ポイント】
Excelや付箋で工程を書き出すだけでも効果は絶大です。

② マニュアル化・ルール化する

属人化を防ぐうえで最も効果があるのが「マニュアル化」です。

マニュアルにすべき内容:

  • 会計ソフトの入力ルール

  • 請求書発行のステップ

  • 経費の承認フロー

  • 月次資料の提出期限

  • 取引先ごとの入金確認ルール

【コツ】
最初から完璧を目指さず、「最低限の業務を誰でも回せる状態」を作ることが重要。

③ 役割を分担し、複数人でチェックできる体制に

「入力」と「確認」を分担することで、ミスと不正を防止できます。

例:

  • 経理担当が入力 → 経営者が確認

  • 事務スタッフが請求作成 → 経理が送付チェック

少人数でも“ダブルチェック”は可能です。

④ クラウド会計ソフトで情報共有する

属人化が最も起こりやすいのが「データが担当者のパソコンにしかない状態」です。

クラウド化すると:

  • 情報がリアルタイムで共有

  • 引き継ぎがスムーズ

  • 税理士も同時にチェックできる

  • バックアップ不要

  • 電子帳簿保存法にも対応しやすい

DXの第一歩は、クラウド会計導入から始まります。

⑤ 定期的に税理士チェックを入れる

社内で完結しようとすると、どうしても“担当者に依存”します。
月次または四半期で税理士が入れば、属人化は大きく改善されます。

税理士のサポート例:

  • 仕訳の確認

  • 月次の締めのサポート

  • 入金管理・未払の漏れのチェック

  • 決算前の調整

ポイント整理

◆ 経理の属人化を防ぐ5つのポイント

  1. 業務を見える化する

  2. マニュアル化・ルール化する

  3. 複数人でチェックできる体制を作る

  4. クラウド化で情報共有する

  5. 税理士チェックを定期的に入れる

◆ 経理属人化チェックリスト(10問)

当てはまる数が多いほど危険度が高いです。

  • □ 経理担当が1人しかいない

  • □ 経理の手順が担当者しかわからない

  • □ マニュアルがない

  • □ 会計ソフトが担当者PCにしか入っていない

  • □ 請求書発行が属人化している

  • □ 入金・支払チェックが担当者任せ

  • □ 月次の締めが毎月遅れる

  • □ 領収書管理が担当者だけの仕組み

  • □ 税理士との共有が“紙・メールのみ”

  • □ 経営者が数字を確認するのが月1回以下

【判定】

  • 0〜3個:良好だが改善余地あり

  • 4〜7個:属人化が進行中、要対策

  • 8個以上:非常に危険。緊急改善が必要です

 よくある質問(Q&A)

Q1. 小さな会社でも属人化を防ぐことはできますか?

A. 可能です。むしろ少人数企業こそ、マニュアルとクラウド化が大きく効果を発揮します。

Q2. マニュアル作りが大変そうですが、どう始めれば?

A. 最初は「請求書の作り方」など、一つの業務からスタートすればOKです。完璧さより“継続”が大切です。

Q3. クラウド会計はどれを選べば?

A. freeeかマネーフォワードが主流です。自社の業務フローと税理士が対応しているソフトを基準に選ぶと失敗しません。

まとめ

経理の属人化は、企業の継続性・安全性に直結する経営課題です。
しかし、

  • 見える化

  • マニュアル化

  • クラウド化

  • 税理士との連携
    この4つを押さえれば、誰でも改善できます。

「うちの経理は大丈夫?」
「属人化リスクを一度チェックしてほしい」
「仕組み化までサポートしてほしい」

このような場合は、税理士法人ビジョン・ナビの無料相談をご利用ください。
実務目線で、貴社の経理体制を整えるお手伝いをいたします。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。