「とりあえず提出」になっていませんか?
「税理士に任せているから大丈夫」
「毎年同じような内容だから、ざっと目を通すだけ」
このように、法人税申告書や所得税の確定申告書を“確認せずに提出”していませんか?
もちろん、専門家に依頼することは重要です。しかし、最終的な納税責任は経営者ご本人にあります。
申告書の内容を理解せずに提出してしまうと、
- 想定外の納税額になっている
- 本来受けられるはずの税額控除が漏れている
- 金融機関提出時に説明できない
といったリスクが生じます。
本記事では、中小企業経営者・個人事業主の方向けに、申告書のどこをチェックすべきかを分かりやすく解説します。最低限押さえるべきポイントを整理し、「数字で経営を語れる状態」を目指しましょう。
まず確認すべきは「税額」と「利益」の整合性
税額はなぜこの金額になっているのか?
法人税申告書の中で、まず確認すべきは最終的な納税額(法人税・地方法人税・住民税・事業税)です。
「去年より増えた・減った」だけではなく、
- なぜ増減しているのか
- 特別損益の影響はないか
- 一時的な要因か継続的な要因か
を把握することが重要です。
税額は、単純な売上増減だけで決まるわけではありません。交際費の損金算入限度額や、役員報酬の取り扱い、繰越欠損金の活用などによっても変動します。
会計上の利益と課税所得の違いを理解する
決算書の「当期純利益」と、申告書上の「課税所得」は一致しません。
これは税務調整(加算・減算)があるためです。
例えば、
- 交際費の一部
- 寄附金
- 減価償却費の超過額
などは税務上、調整されます。
申告書別表四・別表五(一)を見ることで、どのような調整がされているか確認できます。
この差を理解することで、「なぜこの税額になるのか」が見えてきます。
② 別表四・五(一)は“経営者のチェック必須項目”
別表四は税務調整の一覧表
法人税申告書の中でも特に重要なのが別表四(所得の金額の計算に関する明細書)です。
ここには、会計上の利益から税務上の所得へ修正する過程が記載されています。
例えば、
- 役員報酬の損金不算入
- 貸倒引当金の否認
- 交際費の限度超過
などがあれば、ここに表示されます。
経営者としては、「想定外の否認項目がないか」を確認することが大切です。
別表五(一)は利益の“履歴書”
別表五(一)は、利益積立金額や資本金等の額の推移を示します。
- 利益剰余金は増えているか
- 配当や役員賞与の影響は?
- 前期と整合しているか
③ 税額控除・特例の適用漏れはないか?
中小企業向け税制は活用できている?
中小企業には多くの税制優遇があります。
- 中小企業投資促進税制
- 少額減価償却資産の特例
- 所得拡大促進税制
これらが適用されているかどうかを確認しましょう。
詳しくは国税庁のページも参考になります:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
繰越欠損金は正しく使われている?
過去に赤字がある場合、繰越欠損金の控除が適用されているかも重要です。
- 控除限度額を超えていないか
- 残高は正しく管理されているか
これを誤ると、将来の節税機会を失う可能性があります。
④ 経営者が見るべきチェックポイント一覧
ここまでの内容を整理します。
✔ 最低限チェックすべき項目
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 納税額 | 前年比と増減理由 |
| 課税所得 | 会計利益との差異 |
| 別表四 | 加算・減算の内容 |
| 別表五(一) | 利益剰余金の推移 |
| 税額控除 | 適用漏れがないか |
| 繰越欠損金 | 残高と控除状況 |
✔ こんな場合は特に要注意
- 役員報酬を変更した年
- 設備投資を大きく行った年
- 赤字から黒字へ転換した年
- 銀行融資を検討している年
これらのタイミングでは、申告書の確認は特に重要です。
⑤ よくある質問(Q&A)
Q1. 税理士に任せていれば、経営者は見なくても大丈夫ですか?
A. 手続きとしては問題ありませんが、経営判断の観点からは確認をおすすめします。
申告書は「会社の税務成績表」です。内容を把握することで、節税対策や資金繰りの改善にもつながります。
Q2. 別表は難しくて理解できません。どうすればよいですか?
A. すべてを理解する必要はありません。
「なぜこの数字になるのか?」を税理士に説明してもらうことが重要です。説明できない申告書は、健全とは言えません。
Q3. 個人事業主も同じようにチェックすべきですか?
A. はい。確定申告書の「所得金額」「課税所得」「税額控除」欄は必ず確認しましょう。特に青色申告特別控除の適用有無は重要です。
まとめ|申告書は“提出書類”ではなく“経営資料”
申告書は、単なる税務書類ではありません。
経営の通信簿であり、金融機関への説明資料であり、将来の節税戦略の基礎資料です。
「税額がいくらか」だけでなく、
- なぜこの金額なのか
- 改善余地はないか
- 来期はどうすべきか
を考えるきっかけにしていただければと思います。
税理士法人ビジョン・ナビでは、
「申告して終わり」ではなく、申告書を経営に活かすサポートを行っています。
申告書の見方が分からない、セカンドオピニオンを受けたいという方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
初回相談は無料です。
経営者が数字を理解した瞬間、会社は一段と強くなります。
