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会社員の予定納税額は源泉徴収票だけでわかる?副業・不動産収入がある人の確認方法

吉本亘

吉本亘

会社員なのに予定納税の通知が届くと、「源泉徴収票を見れば理由がわかるのか」「自分の何が原因で対象になったのか」と不安になりやすいものです。
特に、副業収入や不動産収入がある場合は、本業の給与から税金が引かれているため、「追加で予定納税が必要になるイメージがなかった」という方も少なくありません。

結論からいうと、源泉徴収票だけで予定納税額そのものを正確に判断するのは難しいです。
ただし、源泉徴収票は「給与収入はいくらか」「どれだけ源泉徴収されているか」を確認する材料になるため、予定納税の通知が来た理由を整理する第一歩としては役立ちます。一方で、実際に予定納税の対象になったかや、予定納税額がどう決まったかを確認するには、前年の確定申告書や予定納税の通知書もあわせて見る必要があります。予定納税は、原則としてその年の5月15日現在で確定している前年分の申告納税額をもとに計算され、予定納税基準額が15万円以上の場合に通知されます。

会社員でも予定納税の通知が来ることはある

予定納税は「個人事業主だけの制度」ではありません

予定納税は、前年分の所得税等をもとに、その年の所得税及び復興特別所得税の一部を先に納める制度です。職業で決まる制度ではないため、会社員であっても、前年分の申告納税額が一定以上あれば対象になります。国税庁は、予定納税基準額が15万円以上の人に、原則として第1期分・第2期分の予定納税額を通知すると案内しています。

副業や不動産収入があると対象になりやすい

会社員でも、副業の雑所得や事業所得、不動産所得、配当所得などがあると、給与以外の部分で所得税額が増え、予定納税の対象になることがあります。特に「本業は年末調整で終わっているから大丈夫」と思っていても、給与以外の所得を確定申告していれば、その申告結果が翌年の予定納税に影響します。国税庁の確定申告関係資料でも、給与所得者であっても副業等の所得がある場合には確定申告が必要になるケースがあることが示されています。

源泉徴収票のどこを見ればいいのか

まず見るのは「支払金額」と「源泉徴収税額」

源泉徴収票で最初に確認したいのは、支払金額源泉徴収税額 です。
国税庁の源泉徴収票の記載要領では、支払金額はその年中に支払が確定した給与等の金額、源泉徴収税額は年末調整後または年中に源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額を示します。つまり、この2つを見ると、給与に対してどれくらい税金が引かれていたか の大枠は確認できます。

「給与所得控除後の給与等の金額」と「所得控除の額の合計額」も見ます

次に見たいのが、給与所得控除後の給与等の金額所得控除の額の合計額 です。
ここを見ると、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額や、社会保険料控除・生命保険料控除・基礎控除などの控除額の合計が分かります。つまり、会社からの給与に関する税額計算のベースは把握しやすくなります。国税庁の記載要領でも、これらの欄は年末調整における計算の基礎として位置づけられています。

ただし、源泉徴収票だけでは分からないこと

予定納税額そのものは源泉徴収票には載っていません

大事なのは、源泉徴収票には予定納税額そのものは載っていない という点です。
源泉徴収票は、あくまで給与に関する収入・控除・源泉徴収税額を示す資料です。一方で予定納税は、前年分の確定申告の結果として確定した申告納税額などをもとに税務署が判定・通知するものです。したがって、「源泉徴収票のどこかを見れば予定納税額がそのまま分かる」という理解は正確ではありません。予定納税額は、通知書や前年の確定申告内容を見て確認するのが基本です。

副業や不動産収入は源泉徴収票だけでは拾えないことが多い

会社員に予定納税の通知が来る原因は、給与以外の所得にあることが多いです。
しかし、副業の雑所得や事業所得、不動産所得などは、当然ながら源泉徴収票にはそのまま載りません。だからこそ、源泉徴収票だけ見て「給与の税金は引かれているから原因が分からない」となりやすいのです。実際には、前年の確定申告書で給与以外の所得がどれだけあり、最終的な申告納税額がどうなったかを見る必要があります。予定納税基準額は、原則として前年分の申告納税額と同じ金額になります。

予定納税の通知が来たときの確認手順

1. 源泉徴収票で給与部分を確認する

まずは、源泉徴収票で

  • 支払金額
  • 給与所得控除後の給与等の金額
  • 所得控除の額の合計額
  • 源泉徴収税額
    を見て、給与部分の税額計算の土台を整理します。ここで「本業の給与だけなら、ある程度税金は年末調整で処理されている」と確認できること自体に意味があります。

2. 前年の確定申告書で給与以外の所得を確認する

次に、前年の確定申告書を見て、給与以外に

  • 副業による雑所得・事業所得
  • 不動産所得
  • 配当所得や一時所得
    などがなかったかを確認します。予定納税の判定は前年の申告内容がベースなので、「なぜ通知が来たのか」を考えるときは、ここを見るのが本筋です。特に副業や不動産収入がある方は、源泉徴収票だけではなく、前年の申告書とセットで見ないと原因が分かりにくいです。

3. 予定納税の通知書で金額と計算の基礎を確認する

最後に、予定納税の通知書を見ます。
通知書には、予定納税基準額や予定納税額、第1期分・第2期分の納付額などが記載されます。国税庁の案内でも、予定納税額の通知書が送付され、確定申告時にはその金額を差し引いて精算することが示されています。つまり、源泉徴収票で「本業部分」を整理し、確定申告書で「給与以外の原因」を整理し、通知書で「今回の納付額」を確認する のが自然な順番です。

会社員が勘違いしやすいポイント

「給与から税金が引かれているから、追加の納税はない」は誤解です

会社員だと、税金は毎月の給与から引かれていて、年末調整もあるため、「もう税金関係は会社で完結している」と思いやすいです。
でも、年末調整で完結するのは主に給与部分です。副業や不動産収入など、給与以外の所得があれば、その部分は別途確定申告や追加の納税が必要になることがあります。予定納税は、その前年分の申告結果をもとに決まるため、会社員でも十分対象になります。

「今年は副業収入が減ったのに通知が来た」もありえます

予定納税は、今年の収入見込みではなく、前年の申告内容 をもとに通知されます。
そのため、「去年は副業が好調だったが、今年はもう落ち着いている」という場合でも、今年の予定納税通知が来ることがあります。国税庁は、見積額により税額が下がる見込みなら減額申請ができる場合があると案内していますが、まずは通知が来た理由を前年分から整理するのが先です。

迷ったときの考え方

自分で整理しやすいケース

次のような場合は、自分でかなり整理しやすいです。

  • 副業か不動産収入のどちらが原因か見当がついている
  • 前年の確定申告書が手元にある
  • 予定納税通知書も確認できる
  • 今年の収入状況もある程度把握できている

こうしたケースでは、源泉徴収票で給与部分を確認し、申告書と通知書を見比べるだけでも、だいぶ全体像が見えます。

専門家に確認した方が安心なケース

一方で、

  • 副業、不動産、配当など複数の所得がある
  • どの所得が原因なのか分からない
  • 通知書の金額が想定と大きく違う
  • 今年は所得が大きく減る見込みで減額申請も検討したい

こうした場合は、前年の申告内容を一度整理して、必要に応じて確認した方が安心です。特に減額申請の可否は、今年の見込みと制度要件の両方を見る必要があります。

よくある質問

Q1. 源泉徴収票だけで予定納税額は分かりますか?

正確には分かりません。
源泉徴収票は給与に関する資料なので、給与部分の収入や源泉徴収税額は確認できますが、予定納税額そのものは通知書や前年の確定申告内容を見ないと判断しにくいです。

Q2. 会社員でも予定納税の通知が来るのは普通ですか?

珍しいことではありません。
給与以外の所得があり、前年分の申告納税額をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上になれば、会社員でも通知が来ます。

Q3. まず何から確認するのがよいですか?

まずは源泉徴収票で給与部分を整理し、その後に前年の確定申告書と予定納税通知書を見るのがおすすめです。
この順で確認すると、「本業給与の影響」と「給与以外の所得の影響」を分けて考えやすくなります。

まとめ

会社員の予定納税額は、源泉徴収票だけで全部が分かるわけではありません
ただし、源泉徴収票は本業給与の状況を整理する材料になるので、「なぜ通知が来たのか」を考える出発点としては役立ちます。

そのうえで、実際の予定納税の原因や金額を確認するには、
前年の確定申告書予定納税の通知書 をあわせて見ることが大切です。
副業や不動産収入がある会社員の方は、給与だけでなく、前年に申告した所得全体から整理すると分かりやすくなります。

源泉徴収票を見ても理由が整理しきれない場合は、前年の申告内容と通知書の計算の基礎を見ながら、落ち着いて確認していくのが近道です。

吉本亘
執筆者:吉本亘
吉本亘(よしもととおる)税理士法人ビジョン・ナビ所属。入社以来、税理士補助として中小企業・個人事業主の月次処理や決算・申告関連のサポート業務に携わる。数字を「経営判断に使える形」に整えることを意識し、実務の現場で起こりやすい勘違いやつまずきポイントを、わかりやすく整理して伝えることを重視している。現在は業務と並行して、事務所ブログの企画・改善にも取り組んでいる。