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消費税にも予定納税がある?仕組みと対象事業者をわかりやすく解説

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「予定納税といえば所得税」というイメージが強いですが、実は 消費税にも予定納税制度(中間申告・中間納付) があるのをご存じでしょうか?

個人事業主にとって、消費税の納税額は資金繰りに大きな影響を与えます。対象となる事業者はあらかじめ理解しておかないと、突然の納付通知に慌てることになりかねません。

この記事では、消費税の予定納税(中間申告)の仕組み、対象事業者、回数、計算方法 をわかりやすく整理しました。

消費税の予定納税(中間申告)とは

中間申告・中間納付の仕組み

消費税の予定納税は、前年の確定消費税額を基準に、当年度もあらかじめ分割して納める仕組みです。正式には「中間申告・中間納付」と呼ばれます。

なぜ中間納付があるのか?

納付額が大きくなりやすい消費税を、翌年の確定申告時に一括で支払うのは事業者にとって大きな負担です。そのため、あらかじめ分割して納めることで資金繰りの安定化を図る 目的があります。

消費税予定納税の対象となる事業者

基準は「前年の確定消費税額」

中間申告の対象となるのは、前年の確定消費税額が 48万円を超える事業者 です。

つまり、売上規模がある程度大きい個人事業主が対象となります。

前年48万円以下なら対象外

前年の確定消費税額が48万円以下であれば、中間申告は不要です。

中間申告の回数と納付額

前年の確定消費税額によって、納付回数が変わります。

前年確定消費税額 中間申告・納付の回数 納付額の目安
48万円超~400万円以下 年1回(8月) 前年税額の1/2
400万円超~4,800万円以下 年3回(5月・8月・11月) 前年税額の1/4 × 3回
4,800万円超~2億円以下 年11回(毎月) 前年税額の1/12 × 11回

📌 ポイント:規模が大きい事業者ほど、分割回数が増える仕組みになっています。

中間申告の納付スケジュール(例:年1回の場合)

  • 通知書発送:7月上旬頃、税務署から「中間申告書」が届きます。

  • 納期限:通常、8月末日(土日祝の場合は翌平日)

  • 納付額:確定消費税額の12分の6の消費税額とその78分の22の地方消費税額

年3回や11回の場合は、それぞれの月ごとに納期限が設定されます。

精算は翌年の確定申告で

予定納税(中間納付)はあくまで「仮払い」です。
翌年の確定消費税申告で、実際の消費税額と比較して精算されます。

  • 納めすぎた場合 → 還付される

  • 不足していた場合 → 追加で納付する

よくある質問(Q&A)

Q1. 消費税の予定納税は減額申請できますか?

A. はい。業績悪化などで今年の売上が明らかに減る場合は、減額申請 が可能です。申請には収支見積書を添付し、所轄税務署へ提出します。

Q2. 納付方法は選べますか?

A. はい。銀行窓口、e-Tax(ダイレクト納付・インターネットバンキング)、クレジットカード納付などから選択できます。利便性や資金繰りに応じて選ぶとよいでしょう。

まとめ|消費税の予定納税を把握して資金繰りを守ろう

  • 消費税にも予定納税(中間申告・中間納付)がある

  • 前年の確定消費税額が 48万円超 なら対象

  • 規模によって納付回数(1回・3回・11回)が異なる

  • 翌年の確定申告で精算される

予定納税は資金繰りに大きな影響を与えるため、早めの準備が欠かせません。

私たち 税理士法人ビジョン・ナビ では、予定納税や消費税申告に関するご相談を承っております。
「自社は対象になるのか?」「減額申請をした方が良いのか?」といった疑問があれば、ぜひ 無料相談 をご利用ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。