こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!
中小企業にとって「退職金」は大切な従業員への感謝でありながら、資金繰りや節税の観点でも重要なポイントです。
しかし、制度設計が古いままだったり、積立方法が適切でないと、税務上のメリットを十分に活かせていないケースもあります。
この記事では、退職金を上手に節税に活かすための考え方と、近年注目されている企業型DC(確定拠出年金)や制度見直しのポイントをわかりやすく解説します。
なぜ退職金制度を見直すべきなのか?
経営と税務の両面で「放置リスク」がある
多くの企業では、昔からの退職金規程をそのまま使い続けています。
しかし、税法・社会保険制度の変更により、以前の設計のままだと節税効果が薄れていたり、会計上の負担が増えている可能性があります。
とくに「退職金をいつ・どのように積み立てるか」は、法人税に直接影響する要素です。
節税しながら「従業員満足度」を高められる
退職金制度は、社員にとって大きな安心材料です。
制度を上手く設計すれば、従業員のモチベーションアップ+税務メリットの両方を得ることができます。
節税につながる退職金制度の仕組み
① 退職金は「損金算入」できる
法人が従業員に支払う退職金は、一定の要件を満たせば損金に算入可能です。
つまり、支給時に法人税の負担を軽減できます。
ただし、過大な金額や役員退職金の算定基準を誤ると否認リスクがあるため、慎重な設計が必要です。
(参考:国税庁|役員退職金に関する取扱い)
② 「退職給付引当金」よりも積立型制度が有利なケースも
昔は「退職給付引当金」で将来の退職金を会計処理していましたが、現在は実際の積立型制度(中退共・企業型DCなど)を活用する方が実効性が高い場合が多いです。
支出を分散でき、節税効果と資金繰りの両立が可能になります。
退職金を節税に活かす主な制度
① 中小企業退職金共済(中退共)
中退共は、独立行政法人が運営する国の退職金共済制度です。
企業が掛金を支払い、その全額を損金に計上できます。
掛金は月額5,000円〜30,000円の範囲で自由に設定でき、税務負担の軽減と福利厚生の充実を両立できます。
メリット
-
掛金全額が損金算入可能
-
退職金の支払い事務が不要(共済が直接支給)
-
社員の安心感が高まる
デメリット
-
一度加入すると簡単に脱退できない
-
掛金を減額すると節税効果も減少
② 企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用を行う制度です。
掛金は全額損金算入可能で、社会保険料の負担も軽減できます。
また、退職金と老後資金を一体化できる点が大きな魅力です。
メリット
-
掛金全額を損金算入できる
-
将来の退職金・年金を計画的に準備できる
-
人材定着・採用力アップにつながる
デメリット
-
運用リスクが社員側にある
-
導入・管理に一定のコストがかかる
制度見直しのポイント|「誰に」「どれだけ」「どう積み立てるか」
退職金制度を見直すときは、以下の3つを明確にしましょう。
-
対象者の範囲(正社員だけか、パート・役員も含むか)
-
支給基準(勤続年数・役職・貢献度による算定)
-
積立方法(内部留保・中退共・企業型DCなど)
これらを整理することで、税務リスクを抑えつつ、従業員にとって公平な制度を構築できます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 役員の退職金も節税に使えますか?
A. はい。役員退職金も、功績倍率などの合理的な算定基準を設定すれば損金算入が認められます。
ただし、過大な金額は否認されるため、専門家によるシミュレーションが重要です。
Q2. 企業型DCと中退共、どちらを選ぶべきですか?
A. 安定性重視なら中退共、将来の資産形成を重視するなら企業型DCがおすすめです。
両方を組み合わせるハイブリッド型設計も可能です。
まとめ|退職金を「負担」から「戦略」に変える
退職金制度は、うまく設計すれば節税と人材定着の両方を実現できる経営ツールです。
中小企業こそ、税務・労務・財務のバランスを考えた見直しが効果的です。
税理士法人ビジョン・ナビでは、企業型DCや退職金制度の導入・見直しをトータルでサポートしています。
「退職金制度の見直しを検討したい」「節税と社員満足の両立を図りたい」という方は、ぜひ無料相談をご利用ください。
あなたの会社に最適な“退職金の活かし方”を一緒に考えます。
