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「値上げできない中小企業」こそ、経営計画で守るべき理由

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!
2025年現在、政府は2020年代中に全国平均最低賃金1,500円を目指す方針を掲げています。
最短では2029年にも到達する見込みがあり、中小企業にとって「人件費の上昇」は避けて通れないテーマになりつつあります。

しかし――
「原材料も光熱費も上がっているのに、値上げなんてできない」
「人件費を上げたら赤字になる」
と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

そんな企業こそ、今こそ“数字に基づいた経営計画”で未来を守るタイミングです。

なぜ「値上げできない中小企業」が危ないのか?

最低賃金が上がるということは、単にパート・アルバイトの給与だけでなく、
正社員の給与水準、賞与、社会保険料など全体の人件費構造に波及します。

例えば、時給1,000円から1,500円に上がると、単純計算で人件費は1.5倍
同じ売上・同じ経費のままでは、利益は確実に圧迫されます。

特に価格転嫁が難しい中小企業では、
「利益構造をどう作り変えるか」が生き残りの分岐点になります。

数字で読み解く:人件費アップが利益に与えるインパクト

ここで一度、自社の粗利構造を見直してみましょう。
たとえば、売上1億円・粗利率30%・人件費2,000万円の会社が、
最低賃金アップで人件費が2,400万円に増えたとします。

すると、営業利益は400万円減少
この差を埋めるには、売上を約1,300万円増やすか、
他のコストを大幅に削減する必要があります。

つまり、感覚的な「なんとかなる」ではなく、
数字でシミュレーションし、対策を立てることが生き残りの第一歩です。

経営計画で守る:数字から逆算する3つのステップ

最低賃金アップ時代に備えるには、次の3ステップで
“数字に強い経営計画”を立てることが有効です。

① 粗利・販管費・利益のバランスを再設計する

人件費増加を前提に、利益をどこで確保するかを明確化します。
特に「売上目標」「人件費率」「利益率」を一体で設計することが重要です。

② 売上目標を逆算で設定する

単に「前年+〇%」ではなく、必要利益からの逆算が必須。
固定費(人件費・家賃・経費)を基準に、利益を残すための売上高を計算します。

③ キャッシュフローを踏まえた賃上げ戦略を立てる

数字上は黒字でも、現金が足りなければ倒産のリスクがあります。
そこで重要なのが、キャッシュフロー(資金繰り)を意識した賃上げ計画です。
税理士がサポートすることで、無理なく持続可能な人件費設計が可能になります。

“数字で考える”会社が強くなる理由

最低賃金アップは「負担」ではなく、「経営改善のチャンス」にもなります。
数字に基づいた経営計画を立てることで、

  • 利益を可視化できる

  • 無駄なコストを洗い出せる

  • 将来の人件費上昇にも耐えられる構造を作れる

といったメリットが得られます。

経営計画を“作ること”が目的ではなく、
「経営判断を数字で行う力」を鍛えることこそが、変化に強い企業への第一歩です。

まとめ:最低賃金1,500円時代に備え、今こそ経営計画をアップデート

最低賃金1,500円の時代は、確実に近づいています。
値上げが難しい中小企業ほど、「数字の見える化」と「戦略的な経営計画」が不可欠です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、
人件費アップが利益構造に与える影響をわかりやすく分析し、
キャッシュフローを踏まえた持続可能な賃上げ戦略を解説する
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税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。