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経理DXの導入手順をわかりやすく解説

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「経理DXを始めたいけれど、具体的に何から手を付ければいいか分からない…」
「ツールを導入しても使いこなせるか不安…」

多くの中小企業経営者や個人事業主の方から、こうした声をよく耳にします。
実際、経理DXは “導入の順番”を間違えると失敗しやすい 分野です。

しかし正しい手順を踏めば、

  • 経理作業の大幅効率化

  • ミス削減

  • 月次決算の早期化

  • 事業のスピーディーな意思決定
    につながり、企業の生産性が大きく向上します。

この記事では、経理DXの導入ステップを誰でも理解できるように丁寧に解説します。

■ 経理DXの導入手順は「5ステップ」

STEP1:現状の経理業務を棚卸しする

最初に行うべきは、今の経理業務を“見える化”することです。

例えば、

  • 仕訳は誰がどのタイミングで入力しているのか

  • 請求書は紙か、PDFか

  • 銀行データは手入力か

  • 経費精算はメール・紙か

  • Excel管理しているファイルは何種類か

これらを整理すると、どこにムダや非効率があるのかが明確になります

【ポイント】

  • 紙が多い工程 → DX効果が出やすい

  • 手入力が多い工程 → 自動化でミス削減

  • 管理者しか分からない業務 → DXで標準化

STEP2:課題を洗い出し、優先順位をつける

棚卸しができたら、次は課題の整理です。

例:

  • 手入力が多いことでミスが多発

  • 領収書の保管がバラバラ

  • 一人に業務が集中している

  • 月次決算が遅い

  • 電子帳簿保存法に未対応

すべてを一度に解決しようとすると混乱するため、
重要度 × 緊急度 で優先順位をつけましょう。

【おすすめの優先順位例】
1位:法令対応(電子帳簿保存法・インボイス)
2位:記帳の自動化
3位:請求・経費精算のペーパーレス化
4位:ワークフローの整備

STEP3:最適なツールを選定する

中小企業は、以下のクラウド会計ソフトのいずれかを選ぶケースが主流です。

  • 弥生会計オンライン

  • freee会計

  • マネーフォワードクラウド会計

選ぶポイントは以下の通り:

  • 自社の業種と業務フローに合うか

  • 銀行・クレカとの連携はスムーズか

  • 請求書発行・給与計算などの拡張性

  • コスト(プランの幅)

  • 税理士事務所との連携のしやすさ

【重要】
税理士と併用する場合は「税理士側が扱い慣れているツール」を選ぶと運用が安定します。

STEP4:運用ルールを作り、社内で共有する

ツールを入れただけではDXは成功しません。
大事なのは “運用ルール” を作ることです。

例:

  • 領収書は月末までにスマホアプリで提出

  • 銀行データは毎週自動取得

  • 請求書はクラウドで統一

  • 月次の締切日を設定

  • 仕訳ルール(勘定科目)を事前に整理

社内に周知したうえで、実際の運用に落とし込むことで、
DXの効果が継続的に出る仕組みができます。

STEP5:試験導入 → 本格運用へ

いきなり全社導入するのではなく、

  • 経費精算だけ

  • 請求書発行だけ
    など、小さく始めるのが成功のコツです。

問題がないか確認したうえで、段階的に広げていきます。

【よくある失敗例】

  • 一気に切り替えて混乱

  • 社内にルールを共有しない

  • 担当者に丸投げで定着しない

小さく始めて、少しずつ改善するのが効果的です。

 ポイント整理

◆ 経理DX導入の5ステップ

  1. 現状業務の棚卸し

  2. 課題と優先順位の整理

  3. ツール選定(クラウド会計・請求・経費)

  4. 運用ルール作成・社内共有

  5. 試験運用 → 本格導入

◆ 中小企業がDXを成功させるコツ

  • すべてを一度に変えない

  • 経理担当が使いやすい仕組みにする

  • 税理士と連携して導入する

  • 法令対応(電子帳簿保存法など)を最優先に

国税庁の電子帳簿保存法情報

よくある質問(Q&A)

Q1. ツール選びで失敗しない方法は?

A. 経理の実務担当者、そして税理士事務所の意見を聞くことが最も効果的です。現場が使いづらいツールを選ぶと定着しません。

Q2. DX導入は専門知識がなくてもできますか?

A. はい、可能です。ただし初期設定(勘定科目・仕訳ルール)は専門的な判断が必要なため、税理士と連携するとスムーズです。

Q3. 小規模事業者でもDXのメリットはありますか?

A. あります。特に「自動仕訳」「スマホで領収書撮影」など、小規模ほど負担軽減効果が大きくなります。

まとめ

経理DXは、「難しそう」と感じる方が多いですが、正しいステップを踏めば必ず成果が出ます。
特に中小企業では、手作業の削減・月次の早期化・ミス削減など、効果が分かりやすく現れるのが特徴です。

「どのツールを選べばよいか迷っている」
「電子帳簿保存法への対応が遅れている」
「運用設計が不安」

そんな場合は、税理士法人ビジョン・ナビの無料相談をご活用ください。
貴社の業種・規模に最適なDX導入を、実務レベルでサポートいたします。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。