はじめに
「予定納税の通知が届いたけれど、金額が想像以上に高い」
「今年は業績が落ちているのに、なぜこんなに払う必要があるのだろう」
予定納税の時期になると、中小企業経営者や個人事業主の方から、こうした不安の声をよく耳にします。
予定納税は毎年の手続きでありながら、金額の根拠が分かりにくく、納得しづらい制度でもあります。
この記事では、
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予定納税の基本的な仕組み
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「高すぎる」と感じやすい理由
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金額が合っているか確認するためのチェックポイント
を整理し、感覚的な不安を整理するための材料をお伝えします。
そもそも予定納税とはどんな制度か
予定納税は「前年基準」で決まる仕組み
予定納税とは、前年分の所得税・法人税・消費税などを基準に、今年分の税金を前払いする制度です。
確定申告でまとめて納税するのではなく、年の途中で分割して納付することで、税収を平準化する目的があります。
重要なのは、
予定納税の金額には今年の業績見込みは原則反映されていないという点です。
そのため、今年の売上や利益が下がっていても、前年が好調だった場合、予定納税額は高くなりやすくなります。
対象になる税目と事業者の範囲
予定納税は、主に以下の税目で発生します。
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所得税(個人事業主)
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法人税(法人)
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消費税(一定額以上の場合)
「今年は赤字だから関係ない」と思っていても、
前年の確定税額が一定以上であれば対象になる点は、見落としやすいポイントです。
(参考:国税庁 https://www.nta.go.jp)
「高すぎる」と感じやすい主な理由
今年の状況と数字が合っていない感覚
多くの方が違和感を覚える理由は、
「今の実感」と「通知された数字」が一致しないことにあります。
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売上が減っている
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利益が出ていない
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資金繰りが厳しい
こうした状況でも、予定納税は前年基準で算出されるため、
実態とズレた金額に見えやすいのです。
税目ごとの仕組みを混同している
予定納税は税目ごとに仕組みが異なります。
特に、
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所得税
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消費税
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法人税
を同じ感覚で捉えてしまうと、
「なぜこの金額になるのか」が分からなくなりがちです。
制度を正しく理解しないまま数字だけを見ると、
必要以上に高く感じてしまうケースは少なくありません。
金額が合っているか確認するチェックポイント
前年の確定税額と照合する
まず行いたいのは、
前年の確定申告書・決算書と予定納税額の照合です。
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前年の確定税額はいくらだったか
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予定納税額の合計は、その金額を基準にしているか
ここが大きくズレていなければ、
計算自体は制度どおり行われている可能性が高いと考えられます。
特例や控除が前年と同じ前提になっていないか
前年に、
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一時的な特別控除
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臨時収入・売却益
があった場合、その影響で確定税額が高くなり、
それがそのまま予定納税に反映されていることがあります。
「去年は特殊な年だった」という場合は、
その前提が今年も続いている扱いになっていないかを確認してみましょう。
実務でよくある勘違いと注意点
「高い=間違い」とは限らない
予定納税が高く感じても、
制度上は正しい金額であるケースは多くあります。
感覚だけで「おかしい」と判断してしまうと、
本来必要な対応を見誤る可能性があります。
まずは、数字の根拠を一つずつ分解して確認することが大切です。
放置すると資金繰りに影響が出ることも
一方で、予定納税は資金繰りに直接影響します。
「そのうち何とかなるだろう」と放置してしまうと、
後から資金面で苦しくなるケースもあります。
制度を理解したうえで、
現状に合った選択肢がないかを考える姿勢が重要です。
ポイント整理|予定納税が高いと感じたときの視点
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予定納税は前年の確定税額が基準
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今年の業績は原則反映されない
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前年の申告書と金額を照合する
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一時的な要因が前年に含まれていないか確認
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高く感じても制度上は正しい場合が多い
「高い」という感覚の正体を整理することで、
冷静に判断しやすくなります。
よくある質問Q&A
Q1. 予定納税の金額が高すぎる場合、必ず払わなければいけませんか?
原則として通知どおりの納付が前提です。ただし、状況によっては別の対応を検討できる場合もあります。
Q2. 今年は赤字見込みですが、予定納税は減らせませんか?
制度上、前年基準で計算されるため自動的には減りません。判断には状況整理が必要です。
Q3. 予定納税を払うと、確定申告時はどうなりますか?
確定申告時に、すでに納付した予定納税額を差し引いて最終的な税額を計算します。
まとめ
予定納税の金額が高すぎると感じたときは、
「感覚的におかしい」と判断する前に、
どの数字を基準に算出されているのかを整理することが大切です。
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前年基準の制度であること
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今年の状況が反映されない仕組みであること
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一時的な要因が影響していないか
これらを確認するだけでも、不安はかなり軽減されます。
判断に迷う場合は、
専門家に一度確認するという選択肢もある、
その程度の距離感で考えてみるとよいかもしれません。
