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予定納税が意味不明?制度の目的と必要性をわかりやすく解説

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「予定納税って正直よくわからない」「どうしてわざわざ前払いが必要なの?」という声をよく耳にします。特に中小企業経営者や個人事業主の方にとっては、資金繰りに直結する制度だからこそ「意味不明」と感じやすいのかもしれません。

しかし、予定納税の目的や仕組みを理解すれば、「なぜ必要なのか」「どう資金計画に組み込むべきか」が見えてきます。この記事では、予定納税の目的・必要性・注意点 をやさしく解説します。

予定納税とは?

所得税や法人税の「前払い制度」

予定納税とは、前年の税額を基準に、当年の税額をあらかじめ前払いする仕組みです。

  • 個人事業主 → 所得税の予定納税(7月・11月に納付)

  • 法人 → 法人税の予定納税(事業年度の半期経過後に納付)

つまり「仮払い」しておき、翌年の確定申告で精算する制度です。

なぜ予定納税があるのか?

もしすべてを確定申告のタイミングで一括納付すると、税額が高額になり、事業者の資金繰りを圧迫してしまいます。予定納税は、これを分散させることで 納税者の負担を軽減 し、税収の安定化 を図るために設けられています。

制度の目的と必要性

① 納税者の資金繰りを守る

年間の所得や利益をもとにした税額は、大きな金額になりがちです。予定納税で分割することで、一度に多額の現金を失うリスクを避けられる のです。

② 国の税収を安定化させる

国や地方自治体にとっても、税収を年度内に分散して確保できるメリットがあります。公共サービスや社会保障を安定的に提供するためにも必要な制度です。

③ 納税の公平性を担保する

事業者間で税負担の時期に差が出ないよう、一定以上の税額を負担する人に対しては予定納税を課し、納税の公平性 を保っています。

予定納税が必要になる条件

予定納税は、すべての事業者に課されるわけではありません。

個人事業主の場合

前年の所得税額が 15万円を超える場合 が対象。7月と11月にそれぞれ1/3ずつ納付します。

法人の場合

前期の法人税額が 20万円を超える法人 が対象。原則として前期税額の1/2を中間納付します。

予定納税をめぐる注意点

還付や追納がある

予定納税はあくまで仮払い。確定申告時に本来の税額と比較して、納めすぎた分は還付、足りなければ追納 になります。

減額申請の活用

業績が大幅に悪化している場合、予定納税をそのまま納めると資金繰りに大きな負担がかかります。その場合は 減額申請 を行うことが可能です。

他の税目との重複に注意

所得税や法人税だけでなく、消費税にも中間納付(予定納税に近い制度)が存在します。同時期に複数の税金が発生することもあるため、資金計画は総合的に立てる必要があります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 予定納税は必ず納めないといけませんか?

A. 対象条件に該当する場合は義務です。ただし、業績悪化などで税額が減る見込みなら減額申請で調整できます。

Q2. 予定納税をしなかったらどうなりますか?

A. 納期限までに納めない場合、延滞税が発生します。資金繰りを守るためにも、必ず期限を守りましょう。

まとめ|「意味不明」ではなく「資金繰りの味方」として捉えよう

  • 予定納税は税金の「前払い制度」

  • 資金繰りの安定化・税収の安定化・公平性の確保が目的

  • 個人・法人で対象条件や納付回数が異なる

  • 還付・追納や減額申請の仕組みを理解しておくことが大切

予定納税は「意味不明で厄介な制度」ではなく、事業者にとって 資金繰りを守るための仕組み でもあります。

私たち 税理士法人ビジョン・ナビ では、予定納税のシミュレーションや減額申請のサポートを行っています。
「自社にとってどのくらいの負担になるのか知りたい」「資金繰りを安定させたい」といった方は、ぜひ 無料相談 をご利用ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。