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経理アウトソーシングでよくあるトラブルと回避策

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「経理を外注したいけど、うまくいくか不安…」
「アウトソーシングでトラブルが起きたと聞いて迷っている」

最近、多くの中小企業が“経理の外注”を選択するようになりました。
しかしその一方で、外注先とコミュニケーションが合わずミスが連発した
資料の提出が遅れて決算に影響が出た
…などの相談も増えています。

経理アウトソーシングは正しく活用すれば大きなメリットがありますが、事前の準備と運用ルールが不十分だとトラブルにつながりやすいのも事実です。

そこで今回は、
「経理アウトソーシングで起こりがちなトラブル」と「その回避策」
を専門家の視点で分かりやすく解説します。

■ 経理アウトソーシングでよくあるトラブル

① 連絡の行き違い・コミュニケーション不足

最も多いのが、「連絡した・していない」問題です。

  • 外注先とやり取りがメールだけ

  • 質問に対する回答が遅い

  • 書類の提出依頼が伝わっていない

  • 認識のズレによる仕訳間違い

経理は細かなやり取りが多いため、コミュニケーション不足はすぐにトラブルにつながります。

② 資料提出の遅れによる処理の遅延

経理処理には期限がありますが、資料が揃わないと外注先は作業できません。

よくあるケース:

  • 領収書が月末にまとめて渡される

  • 請求書を渡し忘れる

  • 振込明細が共有されていない

  • 給与情報の連絡が遅れる

結果、記帳が遅れる → 月次が締まらない → 経営判断が遅れる
と悪循環が起きます。

③ 外注範囲の曖昧さによる作業漏れ

「どこまで外注して、どこから自社が担当するのか」が曖昧だと、必ず抜け漏れが発生します。

例:

  • 仕訳は外注だが、請求書発行は自社担当

  • 口座振替データの作成がどちらの担当か不明

  • 経費精算のチェックが放置される

外注範囲が不明確だと、責任の所在が曖昧になりトラブルを招きます。

■ トラブルを防ぐための回避策

① 毎月の定例ミーティングを設定

コミュニケーション不足の多くは、定期的な打ち合わせの不足が原因です。

  • 月1回のオンラインミーティング

  • 細かな確認事項はチャットで即時対応

  • 請求や支払いの予定を共有

「話せば5分で解決する問題」が多いため、
定例ミーティングは欠かせません。

② 資料提出の締め日と提出方法を決める

「いつまでに、何を、どの方法で提出するか」を明確にすることでトラブルは大幅に減ります。

例:

  • 毎月5日までに前月資料を提出

  • 領収書はスマホで撮影 → 専用フォルダへアップ

  • 請求書はPDFでまとめて共有

  • 銀行明細はオンラインバンキングで外注先に閲覧権限付与

資料提出のルール化が、アウトソーシング成功の鍵です。

③ 契約書・作業一覧表で「担当範囲」を明確化

最も重要なのが、
外注先と自社の担当範囲を明確にすることです。

作成すべき一覧例:

  • 請求書発行 → 自社

  • 領収書スキャン → 自社

  • 会計ソフト入力 → 外注

  • 月次資料作成 → 外注

  • 給与計算 → 自社 or 外注(明記)

責任の所在がはっきりすると、抜け漏れが激減します。

■ 安心してアウトソーシングを運用するために

① クラウドツールで情報共有を一本化

情報が散らばるとトラブルが増えます。

  • Googleドライブ

  • Dropbox

  • Chatwork / Slack

  • クラウド会計ソフト

情報共有を一本化すると、
探す時間ゼロ・漏れゼロ の運用に近づきます。

② 税理士や外注先と“伴走型”の関係を作る

外注は「丸投げ」ではありません。
税理士・外注担当者と協力しながら、二人三脚で運用することが大切です。

  • 質問しやすい関係性

  • 不明点をすぐ確認できる環境

  • 課題を毎月解決していく体制

これが整うとアウトソーシングは非常に強力な仕組みになります。

 ポイント整理

よくあるトラブル

  • 連絡不足による認識違い

  • 資料提出の遅れ

  • 担当範囲の曖昧さ

回避策

  • 月1回の定例ミーティング

  • 資料提出ルールの明確化

  • 契約書・作業一覧で担当を固定

  • クラウドで情報共有を一本化

 よくある質問(FAQ)

Q1:経理を外注すると社内に知識が残らなくなりませんか?

A:ルール化と情報共有をすれば問題ありません。
むしろ属人化が解消され、社内の理解が深まることが多いです。

Q2:外注先はどのように選べば良いですか?

A:業種理解・レスポンス・支援範囲の3つが重要です。
特にコミュニケーションのスピードは必ず確認しましょう。

まとめ

経理アウトソーシングは、正しく運用すれば
経理のミスを減らし、社内負担を大幅に減らす強力な方法です。
しかし、ルールが整っていなかったり、コミュニケーションが不十分だとトラブルが起こる可能性があります。

税理士法人ビジョン・ナビでは、
企業ごとに最適な経理フローの設計から、外注運用の立ち上げ・管理までトータルでサポートしています。

「外注を検討している」
「今の外注に不安がある」
という方は、ぜひ 無料相談 をご活用ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。