社長の給与の決め方で節税額が変わる理由― 法人と個人、両方の税金を“トータルで最適化”する考え方 ―サムネイル画像

社長の給与の決め方で節税額が変わる理由

税理士 林遼平

税理士 林遼平

「社長の給料、なんとなく決めていませんか?」

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「毎月このくらいあれば生活できるから」
「前年と同じ金額でいいかな」

社長の給与(役員報酬)を、こうした感覚で決めている中小企業は少なくありません。
しかし実は、社長の給与の決め方ひとつで、法人税・所得税・住民税・社会保険料まで大きく変わることをご存じでしょうか。

この記事では、

  • なぜ社長の給与が節税に直結するのか

  • 法人と個人、どちらの税金も考える必要がある理由

  • 中小企業が押さえるべき役員報酬設計のポイント

を、税務の基本から分かりやすく解説します。
「無理のない節税」を実現したい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

社長の給与(役員報酬)とは?基本ルールを整理

役員報酬は「自由に変えられない」

まず大前提として、社長の給与=役員報酬には、税務上の厳格なルールがあります。

原則として、
期首から3か月以内に決めた金額を、1年間同額で支給する
これが「定期同額給与」と呼ばれるルールです。

このルールを守らないと、
✔ 法人の経費(損金)として認められない
✔ 結果的に法人税が増える

といった不利な扱いを受ける可能性があります。

👉 国税庁|役員給与の取扱い

役員報酬は法人税と直結する

役員報酬は、

  • 法人にとっては「経費」

  • 社長個人にとっては「所得」

という二面性を持っています。
この性質こそが、節税額に差が出る最大の理由です。

なぜ社長の給与で節税額が変わるのか?

理由① 法人税と所得税の“税率構造”が違う

法人税と所得税では、税率の仕組みが異なります。

  • 法人税:一定水準までは比較的フラット

  • 所得税:所得が増えるほど税率が上がる累進課税

つまり、
✔ 社長の給与を上げすぎる → 個人の所得税・住民税が増える
✔ 社長の給与を下げすぎる → 法人の利益が増え、法人税が増える

という関係になります。

理由② 社会保険料の影響が大きい

社長の給与額は、社会保険料にも直結します。

  • 健康保険料

  • 厚生年金保険料

これらは、会社と社長個人がほぼ折半で負担します。
給与を上げると、税金だけでなく、社会保険料の負担も大きくなる点に注意が必要です。

社長の給与を高くしすぎた場合のデメリット

個人側の税負担が一気に増える

役員報酬を高く設定しすぎると、

  • 所得税

  • 住民税

  • 社会保険料

が一気に増加します。

「法人税は減ったけど、手取りが思ったより残らない」
という状態に陥るケースも珍しくありません。

法人の資金繰りを圧迫する可能性

役員報酬は毎月の固定支出です。
利益が想定より伸びなかった場合でも、支払いは続きます。

無理な金額設定は、
✔ キャッシュフロー悪化
✔ 決算直前の資金不足

につながるリスクがあります。

社長の給与を低くしすぎた場合のデメリット

法人税が増えやすくなる

社長の給与を極端に低くすると、法人の利益が増え、
結果として法人税の負担が重くなる可能性があります。

「節税のつもりで給料を下げたのに、法人税が増えた」
という逆転現象が起こることもあります。

個人の将来設計に影響する

役員報酬は、

  • 社会保険の標準報酬月額

  • 将来の年金額

  • 借入時の個人担保余力

にも影響します。

短期的な税金だけでなく、
将来の生活設計まで見据えて判断することが重要です。

節税につながる社長の給与の決め方とは?

ポイント① 法人と個人の「合計税負担」で考える

社長の給与は、
法人税+社長個人の税金・社会保険料
を合計した「トータル負担」で考える必要があります。

どちらか一方だけを減らすと、
もう一方が増えてしまうケースが多いためです。

ポイント② 事前に利益予測を行う

役員報酬は、決算が終わってからでは変更できません。
そのため、
✔ 期首に利益予測を立てる
✔ 数パターンの給与シミュレーションを行う

ことが、無理のない節税につながります。

ポイント③ 税理士と必ず相談する

役員報酬の設計は、

  • 税務

  • 社会保険

  • 資金繰り

すべてに影響します。
自己判断ではなく、税理士と数字を見ながら決めることが、結果的に一番安全で効果的です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 期の途中で社長の給与を変更できますか?

A. 原則できません。正当な理由がない限り、期中変更は損金不算入となり、節税効果がなくなります。

Q2. ボーナスで調整すれば節税になりますか?

A. 事前に定めた「事前確定届出給与」であれば可能ですが、届出や管理が必要です。安易なボーナス支給は注意が必要です。

まとめ|社長の給与は「節税設計」の要

社長の給与は、
✔ 法人税
✔ 所得税・住民税
✔ 社会保険料

すべてに影響する、最重要の節税ポイントです。

「なんとなく決める」のではなく、
数字に基づいて、無理のない金額を設計することが、会社と社長双方を守ります。

税理士法人ビジョン・ナビでは、

  • 役員報酬の最適シミュレーション

  • 法人・個人トータルでの税負担分析

  • 決算前・期首の給与設計サポート

について、無料相談を実施しています。
「この給与設定、本当にベスト?」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。