成長しているのに「お金が苦しい」はよくある話です
「売上は伸びているのに、なぜか資金繰りがきつい」
「社員を増やしたいが、資金が不安で踏み切れない」
こうした悩みは、成長途中の中小企業では珍しくありません。
実は、企業が成長するほど売上が増える一方で、仕入・外注費・人件費などの支出も増え、資金の流れが複雑になります。
その結果、黒字でも資金不足に陥るケースが出てきます。
成長企業は、売上拡大だけでなく「財務管理の仕組み」を整えることで、資金繰りを安定させています。
この記事では、成長企業が実践している財務管理の考え方を、中小企業や個人事業主でも取り入れられる形で分かりやすく解説します。
成長企業が財務管理を重視する理由
利益より「キャッシュ」が先に尽きるから
成長企業が財務管理を強化する最大の理由は、利益が出ていても資金が足りなくなるリスクがあるからです。
例えば、売上が増えれば売掛金も増えますが、入金は数か月後になることがあります。一方で、仕入代金や外注費は先に支払う必要があり、資金は先に出ていきます。
つまり、成長するほど「お金が出ていくスピード」が上がり、資金繰りが不安定になりやすいのです。
この状態を放置すると、いわゆる黒字倒産につながる可能性もあります。
財務管理とは、こうした資金のズレを見える化し、先回りして対策するための仕組みです。
経営判断の精度が上がる
財務管理が整っている会社は、意思決定が早くなります。
たとえば、採用や設備投資をする際に「やりたい」だけでなく、「今やっても資金的に耐えられるか」を数字で判断できます。
逆に財務管理が弱いと、社長の感覚だけで判断しがちになり、後から資金不足になって焦ることになります。
成長企業ほど数字を見て判断し、攻めるべき時に攻められる状態を作っています。
成長企業が実践する財務管理の基本3つ
① 資金繰り表を作り「未来の残高」を把握する
成長企業が必ず行っているのが、資金繰り表の作成です。
資金繰り表とは、今後の入金予定と支出予定を整理し、月ごとの資金残高を予測する表です。
ポイントは、試算表の利益ではなく「現金の動き」で見ることです。
売上が計上されていても、入金されていなければ現金は増えません。逆に経費は支払った瞬間に現金が減ります。
最低でも3か月先、できれば6か月先まで見えるようにすると、資金不足の兆候を早めに察知できます。
財務管理の第一歩は「未来の資金を見える化すること」と言えます。
② 予実管理で「ズレ」を把握する
成長企業は、予算と実績の差(予実差)を毎月チェックします。
これを予実管理と呼びます。
たとえば、売上が予算より低かった場合、原因が「受注減」なのか「入金遅れ」なのかで対応は変わります。
また、経費が増えている場合も「一時的な投資」なのか「無駄な固定費増」なのかで判断が変わります。
予実管理の目的は、社長を責めることではなく、ズレの原因を見つけて次の手を打つことです。
数字を確認する習慣がある会社ほど、経営改善が早く、結果的に成長しやすくなります。
③ 固定費と変動費を分けて考える
財務管理が上手い会社は、支出を「固定費」と「変動費」に分けて管理しています。
- 固定費:家賃、人件費、リース料など毎月発生する費用
- 変動費:仕入、外注費、広告費など売上に応じて増減する費用
特に成長企業では、人件費など固定費が増えるタイミングが多くなります。
固定費が増えると、売上が落ちたときに一気に資金繰りが厳しくなるため、増やす判断は慎重に行われます。
固定費の増加は、成長の投資でもありますが、同時にリスクにもなるため、財務管理の重要なチェックポイントです。
銀行対応まで含めて「財務管理」と考える
融資を受ける会社ほど管理が必要になる
成長企業は、自己資金だけでなく融資も活用して成長します。
その際、銀行が見るのは売上ではなく「返済できる体力があるか」です。
具体的には、試算表の内容だけでなく、資金繰り表や今後の見通しを確認されます。
銀行に説明できる数字が揃っている会社は、融資が通りやすく、条件交渉もしやすくなります。
融資を受けること自体は悪いことではなく、資金を成長に活かすための手段です。
ただし、借りるなら「返済計画も含めて管理する」ことが前提になります。
「月次決算」が早い会社は強い
成長企業ほど、月次決算(毎月の試算表作成)が早い傾向があります。
理由は単純で、数字が遅れると経営判断が遅れるからです。
理想は、翌月10日〜15日までに月次の数字が見える状態です。
数字が見えれば、資金繰り表の更新や予実管理もスムーズになります。
月次決算のスピードが上がるだけで、経営の見通しは驚くほど良くなります。
ポイント整理:成長企業の財務管理チェックリスト
| 財務管理の項目 | 成長企業がやっていること |
|---|---|
| 資金繰り管理 | 3〜6か月先の残高を予測する |
| 予実管理 | 売上・利益・資金のズレを毎月確認 |
| コスト管理 | 固定費と変動費を分けて把握 |
| 銀行対応 | 融資を見据えた資料準備ができている |
| 月次決算 | 翌月中旬までに数字が見える |
重要ポイント(まとめ)
- 利益よりキャッシュが重要
- 資金繰り表が財務管理の土台
- 予実差を放置しない
- 固定費増は成長とリスクの両面がある
- 銀行に説明できる数字を整える
よくある質問(Q&A)
Q1:財務管理は小さな会社でも必要ですか?
必要です。むしろ小規模な会社ほど、資金がショートすると影響が大きいため重要です。
最初は資金繰り表を簡易的に作るだけでも効果があります。完璧を目指すより「続けられる形」で始めることがポイントです。
Q2:資金繰り表と試算表は何が違うのですか?
試算表は、利益(儲かったかどうか)を把握するための資料です。
資金繰り表は、現金(残高が足りるかどうか)を把握するための資料です。
黒字でも倒産するケースがあるのは、利益と現金の動きが一致しないためです。
Q3:財務管理を税理士に頼むと費用は高いですか?
会社の規模や対応範囲によりますが、月次の数字整理や資金繰り表の作成支援を含める場合、顧問契約の内容として対応できるケースもあります。
「どこまで自社でやり、どこを外部に任せるか」で費用感は変わります。
まとめ:成長企業は「数字が見える仕組み」を持っている
成長企業がやっている財務管理は、特別なことではありません。
資金繰り表で未来を見える化し、予実管理でズレを確認し、固定費や融資を含めて経営判断をしているだけです。
ただし、この「当たり前」を続けることが簡単ではないため、差が生まれます。
まずは、資金繰り表を作り、月1回更新することからでも十分効果があります。
もし「資金繰り表を作ってみたが不安が残る」「融資を見据えて整理したい」と感じた場合は、専門家に確認することで判断がスムーズになることもあります。
無理なく続けられる形で、財務管理を整えていきましょう。
