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小規模企業共済の掛金を途中で変更したらどうなる?

税理士 林遼平

税理士 林遼平

はじめに

「小規模企業共済の掛金、今の金額のままで本当にいいのだろうか」
そんな疑問を感じたことはありませんか。

売上や利益が増えたタイミングで「もう少し掛金を増やしたほうが節税になるのでは」と考える方もいれば、資金繰りが厳しくなり「一時的に減らせないだろうか」と悩む方も少なくありません。
小規模企業共済は長期的な制度だからこそ、途中変更の影響が気になりますよね。

この記事では、
小規模企業共済の掛金を途中で変更した場合にどうなるのかを中心に、
制度の基本、よくある勘違い、実務上の注意点を分かりやすく整理します。
「変更すべきかどうか」を急いで決めるためではなく、判断材料を持つための記事としてお役立てください。

小規模企業共済の掛金は途中で変更できる?

掛金は月1,000円〜7万円の範囲で設定可能

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円から7万円まで、500円単位で設定できます。
加入時に決めた金額は固定ではなく、事業状況に応じて途中で変更することが可能です。

この柔軟性が、小規模企業共済の大きな特徴のひとつです。
売上や利益の増減に合わせて掛金を見直せるため、無理のない範囲で長く続けやすい制度といえます。

掛金変更は年に何回でも可能

掛金の変更は、年に1回までと誤解されがちですが、実際には年に複数回変更することも可能です。
ただし、変更が反映されるのは申請書を提出した後の掛金からとなり、過去にさかのぼって修正することはできません。

「今年の分をまとめて増額したい」といった対応はできないため、変更のタイミングには注意が必要です。

(制度の詳細は中小機構公式サイトも参考になります
https://www.smrj.go.jp/kyosai/shokibo/)

掛金を増額した場合の影響と注意点

節税効果は高まるが、資金繰りへの影響も

小規模企業共済の掛金は、全額が所得控除の対象です。
そのため、掛金を増額すると、その分だけ課税所得が減り、所得税・住民税の負担軽減につながります。

利益が出ている年に掛金を増やすことで、節税効果を実感しやすくなるのは事実です。
一方で、掛金は毎月確実に支払う必要があるため、資金繰りへの影響も無視できません。

「余裕がある年だけ増やす」考え方の落とし穴

よくある勘違いとして、「利益が出た年だけ掛金を大きく増やせばよい」と考えてしまうケースがあります。
しかし、翌年以降に資金繰りが厳しくなり、無理に減額せざるを得なくなると、長期的な計画が崩れてしまいます。

増額を検討する際は、今後数年の事業見通しも含めて考えることが重要です。

掛金を減額した場合の影響と注意点

減額自体は可能だが、将来受取額に影響

小規模企業共済の掛金は減額することも可能です。
資金繰りが一時的に厳しくなった場合や、事業環境が変わった場合には、無理をせず減額する選択も現実的です。

ただし、掛金を減らすと、その分将来受け取れる共済金額も少なくなります。
「減らしても大きな問題はない」と短期的に判断してしまうと、老後資金や退職金の計画に影響が出る可能性があります。

掛金を減らしても過去分が消えるわけではない

減額したからといって、これまで積み立てた掛金が無効になるわけではありません。
あくまで「今後の掛金」が減るだけで、過去の積立分はそのまま維持されます。

そのため、「完全に無駄になるのでは」と過度に心配する必要はありませんが、将来設計への影響は一度整理しておくと安心です。

掛金変更を考える際のポイント整理

判断の軸は「節税」だけにしない

掛金変更を考える際、どうしても節税効果に目が向きがちです。
しかし、小規模企業共済は退職金・老後資金の準備という側面も持つ制度です。

短期的な税金対策だけで判断すると、将来の受取額とのバランスが崩れる可能性があります。
節税・資金繰り・将来設計の3点をセットで考えることが重要です。

定期的な見直しが現実的

毎年必ず変更する必要はありませんが、
・利益水準が大きく変わった
・法人化を検討している
・家計や生活環境が変わった

こうしたタイミングで、一度掛金を見直す人が多い傾向があります。
「変更するかどうか」ではなく、「現状に合っているか」を確認する意識が大切です。

よくある質問Q&A

掛金を変更した場合、税務署への手続きは必要ですか?

掛金変更そのものについて、税務署への個別届出は不要です。
確定申告時に、支払った掛金額をもとに所得控除として申告します。

一時的に掛金を止めることはできますか?

掛金の「停止」はできませんが、月額1,000円まで減額することは可能です。
実質的に負担を最小限に抑える方法として利用されるケースがあります。

まとめ

小規模企業共済の掛金は、途中で増額・減額が可能で、比較的柔軟に見直せる制度です。
ただし、変更は節税効果だけで判断せず、資金繰りや将来の受取額とのバランスを考えることが重要です。

「今の掛金が自分に合っているのか分からない」と感じた場合、
制度の仕組みを整理したり、専門家に考え方を確認したりするという選択肢もあります。
無理のない形で、長く活用できる判断につなげていきましょう。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。