タイトル画像

“なんでも屋社員”を救う!中小企業の業務分担と人材活用法

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

中小企業では、特定の社員が**「何でも引き受けてしまう」状態**になりやすく、これを俗に「なんでも屋社員」と呼ぶことがあります。

  • 経理も営業も兼務している

  • 相談窓口が集中して、業務が滞る

  • 残業が多く、モチベーションも低下

この状態を放置すると、社員の負担増加・離職リスク・業務の属人化につながり、会社全体の生産性も低下します。

この記事では、中小企業が“なんでも屋社員”を救い、業務分担と人材活用を改善する方法を解説します。

なぜ中小企業に“なんでも屋社員”が生まれるのか?

  • 人員が少なく、業務が一部の社員に集中

  • 社長や上司が指示を細かく出してしまう

  • 業務の優先順位が明確でない

  • 権限委譲や役割分担の仕組みが整っていない

結果として、特定社員が「何でも抱え込み、誰も任せられない」状況が発生します。

👉 中小企業庁も、人材の適切な配置と業務効率化を経営課題として推奨しています(中小企業庁:人材活用)。

ステップ① 業務の棚卸しと優先順位付け

まずは現状の業務を整理することが必要です。

  • 部署ごとに業務内容をリスト化

  • 作業量・難易度・担当者を明記

  • 重要度・緊急度に応じて優先順位を付ける

このプロセスにより、負荷が集中している業務や社員を可視化できます。

ステップ② 業務分担と権限委譲

  • 業務を明確に切り分け、担当者を複数設定

  • 決裁権や判断権を社員に委譲し、社長や管理職の確認を減らす

  • サブ担当を設け、担当者が休んでも業務が止まらない体制を作る

権限委譲により、なんでも屋社員の負担を減らすと同時に、社員の自律性とモチベーション向上にもつながります。

ステップ③ クロストレーニングと人材育成

  • 社員同士で業務を教え合う「クロストレーニング」

  • 定期的にジョブローテーションを実施

  • 必要に応じて外部研修やセミナーを活用

これにより、誰もが複数の業務に対応できる体制を整え、属人化を防ぎます。

ステップ④ 業務効率化ツールの導入

  • クラウド会計・勤怠システムで手作業を削減

  • タスク管理ツールで業務の進捗を可視化

  • 社内チャットやクラウドストレージで情報共有を強化

業務効率化により、負荷の偏りを減らし、社員が本来の業務に集中できる環境を作ります。

ステップ⑤ 定期的なレビューと改善

  • 業務分担や負荷の状況を定期的に見直す

  • 社員からの意見を吸い上げ、改善策を検討

  • 成果や改善状況を可視化し、評価に反映

こうすることで、業務分担の偏りや「なんでも屋社員」の問題を長期的に解消できます。

成功事例:IT企業(社員28名)

課題

  • 営業・経理・事務を1人が兼務

  • 残業が月40時間以上、業務効率も低下

改善策

  • 業務棚卸しで負荷集中を可視化

  • 経理・営業・事務に担当者を明確化

  • タスク管理ツール導入+クロストレーニング実施

成果

  • 残業時間が半減

  • 業務が分散され、社員のストレスも軽減

  • 部署間の情報共有がスムーズになり生産性向上

よくある質問(Q&A)

Q1. 社員の能力差が大きく、業務分担が難しい場合は?
A. まずは重要業務に優先順位を付け、段階的に分担します。研修や外部サポートも活用しましょう。

Q2. 権限を委譲するとミスが増えませんか?
A. 最初はフォロー体制を作りつつ段階的に任せるのがポイントです。失敗は成長のチャンスと捉えましょう。

まとめ|なんでも屋社員を救い、組織力を高める

中小企業では「なんでも屋社員」に頼りがちですが、業務の棚卸し・分担・権限委譲・効率化・育成を組み合わせることで解決できます。
属人化を防ぎ、社員一人ひとりが力を発揮できる組織にすることが、生産性向上の第一歩です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、業務分担や人材活用の改善に関する無料相談を行っています。
まずはお気軽にご相談ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。