黒字倒産を防ぐ!中小企業が実践すべき資金管理と財務戦略

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

中小企業では、売上が出て黒字でも、資金不足によって倒産してしまう「黒字倒産」が発生することがあります。

  • 売掛金の入金が遅れ、現金が不足

  • 設備投資や人件費の支払いに資金が回らない

  • 融資の返済や税金支払いが重なり、手元資金が枯渇

黒字倒産は、利益だけで安心してはいけないことを示す典型例です。

この記事では、黒字倒産を防ぐための資金管理と財務戦略の具体策を解説します。

なぜ黒字倒産は起こるのか?

1. 売掛金の回収遅延

  • 商品やサービスは販売できても、入金が遅れると現金が不足

  • 特に中小企業では、取引先の支払い条件に依存しやすい

2. 固定費・変動費の負担

  • 人件費、家賃、光熱費などの固定費が毎月発生

  • 売上があっても、支払いのタイミング次第で資金ショート

3. 設備投資・成長投資

  • 黒字でも投資や事業拡大の資金を準備できず、経営が圧迫される

👉 中小企業庁も、黒字倒産防止のためにキャッシュフロー管理と資金計画の重要性を呼びかけています(中小企業庁:資金繰り支援)。

黒字倒産を防ぐ資金管理の基本

ステップ① キャッシュフローの可視化

  • 毎月の収入・支出を一覧化

  • 現金・預金残高と将来の入出金予定を把握

  • 先を見越して資金ショートを予防

ステップ② 支払いと入金の調整

  • 請求書の締め日や支払期日を調整

  • 取引先との入金条件を交渉

  • 支払い優先順位を明確化

ステップ③ 固定費・変動費の最適化

  • 人件費や外注費、消耗品費の見直し

  • 無駄なコストを削減し、資金の余裕を確保

財務戦略で黒字倒産を防ぐ方法

① 資金調達の選択肢を確保

② 資金繰り予測と予実管理

  • 月次で収支の実績と予算を比較

  • 乖離がある場合は原因を分析し、迅速に対策

  • キャッシュフロー予測表を作成し、半年〜1年先まで資金の流れを把握

③ 財務指標を活用

  • 現金比率(現金÷総資産)や流動比率(流動資産÷流動負債)をチェック

  • 財務指標をもとに、資金余裕度や返済能力を可視化

  • 財務状況を数値で把握することで、危険信号に早めに対応可能

成功事例:卸売業(社員28名)

課題

  • 黒字だが入金遅延で毎月の給与支払いがギリギリ

  • 設備投資のタイミングで資金ショートの危険

改善策

  • キャッシュフロー表で入出金を予測

  • 支払・入金のタイミング調整

  • 短期融資を活用して資金余裕を確保

成果

  • 資金ショートを回避し、黒字倒産リスクをゼロに

  • 設備投資や新規事業への資金も安定的に確保

  • 経営者の意思決定に余裕が生まれ、社員への安心感も向上

よくある質問(Q&A)

Q1. 黒字でも資金が足りない場合、何から手を付けるべきですか?
A. まずキャッシュフローを可視化し、入出金のタイミングや固定費の負担を確認。次に融資や資金調達を検討します。

Q2. 財務指標はどのくらいの頻度で確認すれば良いですか?
A. 月次で予実管理を行い、必要に応じて四半期ごとに財務指標をチェックするのが理想です。

まとめ|黒字倒産を防ぐには資金管理と財務戦略の両立を

黒字倒産は、利益が出ているだけでは防げないリスクです。
キャッシュフロー管理を徹底し、支払・入金のタイミング調整、固定費削減、資金調達、財務指標の活用など、戦略的な資金管理が必要です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、中小企業の資金繰り改善・黒字倒産防止に関する無料相談を承っています。
資金管理で経営の安定を確保したい方は、お気軽にご相談ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。