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雇用助成金と節税を同時に狙う“ハイブリッド型経営”とは

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「助成金を活用してコストを抑えたい」「節税対策もしっかり行いたい」――そう考える中小企業経営者の方は多いでしょう。
実はこの2つを**同時に実現できる“ハイブリッド型経営”**があります。
この記事では、雇用助成金と節税を組み合わせて利益体質を強化する方法を、税理士の視点からわかりやすく解説します。

助成金と節税、なぜ「別物」と考えてはいけないのか?

助成金=“人への投資”を支援する制度

雇用関係助成金は、人材採用・育成・職場環境改善などに取り組む企業を支援する制度です。
もらえる金額も大きく、返済不要の「実質的な収益」となります。
ただし、助成金を受け取るためには「人件費の支払い」や「雇用維持」などの条件を満たす必要があります。

節税=“数字の整理”でお金の流れを最適化

一方、節税は支出をうまく経費化したり、制度を活用して法人税負担を軽減する仕組みづくりのこと。
この2つをバラバラに考えるのではなく、「人に投資する=助成金を受けながら節税する」形にすると、資金効率が格段に高まります

ハイブリッド型経営の基本構造とは?

① 「助成金」で人件費を補い、利益圧迫を防ぐ

たとえば、人材育成を目的とした「人材開発支援助成金」や「キャリアアップ助成金」などを活用すると、
教育コストの一部を国が負担してくれるため、経費を削らずに社員のスキルアップが実現します。
この費用を「人材投資」として計上すれば、会社の利益を圧迫せずに競争力を高められます。

② 「節税」で内部留保を最適化

助成金で浮いた分の資金を、節税効果の高い制度に振り向けましょう。
たとえば、

  • 倒産防止共済(中小企業倒産防止共済)

  • 中小企業経営強化税制による即時償却

  • 企業型DC(確定拠出年金)への拠出
    などを活用すれば、利益を守りながら将来への備えができます。

助成金×節税の具体的な組み合わせ事例

活用シーン 助成金例 節税制度例 効果
社員のスキルアップ 人材開発支援助成金 教育費の損金算入 教育費を実質負担ゼロに
正社員転換 キャリアアップ助成金 社会保険料の損金算入 雇用安定+税負担軽減
新規採用・育成 トライアル雇用助成金 雇用関係費用の損金化 採用コストの軽減
経営安定対策 中退共・企業型DC 掛金全額損金 将来の退職金準備+節税

このように、助成金で支出を抑え、節税で利益を守る
2つの制度を組み合わせることで、持続的なキャッシュフロー改善が可能になります。

ハイブリッド経営を成功させる3つのステップ

① 自社が申請できる助成金を洗い出す

厚生労働省の「雇用関係助成金」には毎年多くの種類があり、条件に合えば中小企業でも受給可能です。
(参考:厚生労働省|雇用関係助成金

② 利益構造を分析し、節税優先順位を決める

助成金だけではなく、「利益の出方」「支出のタイミング」を見て、どの制度を組み合わせるかを決めます。
税理士の分析を加えることで、税効果を最大化できます。

③ 助成金の計上時期と税務処理に注意

助成金は受給時点で益金算入(=課税対象)となるケースが多いため、計上時期のコントロールが重要です。
節税策と合わせてタイミングを調整すれば、税負担をさらに軽減できます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 助成金をもらうと税金が増えるのでは?

A. はい、助成金は原則「益金」に算入されます。
ただし、同時に経費(人件費や教育費)を損金にできるため、実質的には税負担を抑えられます。

Q2. 助成金と節税の管理はどうすればいい?

A. 助成金は労務分野、節税は税務分野ですが、両者を連携させることが大切です。
税理士と社労士が連携した「ワンストップ対応」が理想です。

まとめ|“もらう+守る”経営で会社を強くする

助成金は「もらって終わり」ではなく、節税と組み合わせて資金を守る戦略ツールです。
中小企業にとって、限られたリソースを最大限活かすには、助成金と税務戦略の両立=ハイブリッド経営が鍵となります。

税理士法人ビジョン・ナビでは、助成金・節税・労務のトータルサポートを行っています。
「うちでも活用できる助成金が知りたい」「節税とあわせて経営改善を図りたい」という方は、ぜひ無料相談をご利用ください。
御社に最適な“ハイブリッド型経営”をご提案します。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。