赤字は「倒産のサイン」ではなく、改善のスタート地点
「赤字が続いていて、このまま会社を続けられるのか不安」
「売上はあるのに利益が残らない」
中小企業の経営者から、このような悩みはよく聞かれます。
赤字という言葉は重く感じますが、赤字=即倒産ではありません。
ただし、放置すると資金が減り、銀行の評価も下がり、選択肢が狭まってしまいます。
大切なのは、焦って一発逆転を狙うことではなく、現状を整理して改善の道筋を立てることです。
この記事では、赤字企業が立ち直るために必要な考え方と、実務的な改善ステップをわかりやすく解説します。
まず最初にやるべきこと:赤字の種類を見極める
赤字には「一時的」と「構造的」がある
赤字企業の立て直しで最初に必要なのは、「赤字の原因が何か」を整理することです。
赤字には大きく分けて2種類あります。
- 一時的な赤字(設備投資・人材採用・新規事業などの先行投資)
- 構造的な赤字(売上が足りない、粗利が低い、固定費が重い)
一時的な赤字なら、資金繰りが持つ限り将来の黒字化を見込めるケースがあります。
しかし構造的な赤字の場合、放置しても改善しません。
「なぜ赤字なのか」を見誤ると、必要のない節約や、逆に手遅れになる放置につながるため注意が必要です。
利益よりも「資金繰り」を先に確認する
赤字のときに最も危険なのは、利益よりも先に資金(キャッシュ)が尽きることです。
黒字倒産があるように、赤字でも資金があれば会社は継続できます。
まずは次の点を確認しましょう。
- 現預金残高はいくらあるか
- 1か月の固定費はいくらか
- 何か月持つか(資金余力)
資金繰りが厳しい場合、利益改善より先に資金確保が必要になります。
赤字企業の立ち直りは、「資金の確保」と「利益改善」の両輪で進めることが基本です。
赤字企業が立ち直るための改善ステップ
ステップ1:粗利(売上総利益)を改善する
赤字企業の多くは、売上よりも「粗利」が足りていないケースがあります。
粗利とは、売上から仕入や外注費などの直接原価を引いた利益です。
粗利が弱いと、売上が増えても利益が残りません。
よくある誤解として「売上さえ増えれば何とかなる」と考えてしまうことがありますが、粗利率が低いまま売上を伸ばすと、忙しくなるだけで資金繰りが悪化することもあります。
まずは、商品・サービス別に粗利率を確認し、「儲かっている仕事」と「儲かっていない仕事」を整理することが重要です。
ステップ2:固定費を見直し、損益分岐点を下げる
赤字企業が次に見直すべきは固定費です。
固定費とは、売上に関係なく毎月発生する費用です。
- 人件費
- 家賃
- リース料
- サブスク費用
- 通信費
固定費が重いと、売上が少し落ちただけで赤字になります。
この状態を「損益分岐点が高い」といいます。
ただし、固定費削減はやり方を間違えると会社の体力を削ります。
例えば、売上を作っている営業担当の削減や、必要な広告費を止めることは逆効果になる場合があります。
「削るべき固定費」と「守るべき固定費」を区別しながら進めることが重要です。
ステップ3:資金繰り表を作り、資金ショートを防ぐ
赤字からの回復には時間がかかります。
そのため、資金繰り表で未来の資金残高を予測し、資金ショートを防ぐことが必須です。
資金繰り表は難しく見えますが、基本はシンプルです。
- 今月の入金予定
- 今月の支払い予定
- 月末残高の見込み
最低でも3か月先、できれば6か月先まで作成しておくと安心です。
赤字の会社ほど、資金繰り表を作るだけで経営判断が大きく改善します。
銀行・資金調達を味方につける考え方
「借りられるうちに借りる」が正解のケースもある
赤字が続くと、融資は難しいと思われがちですが、実際には「改善計画があるか」が重視されます。
銀行は、現状が赤字かどうかだけでなく、「今後返済できる見込み」を見ています。
そのため、
- どの費用を削減するか
- どの粗利を改善するか
- いつ黒字化する見込みか
といった改善ストーリーが説明できれば、融資の可能性は残ります。
特に資金が尽きてから動くと選択肢が狭まるため、資金繰りが持つうちに動くことが重要です。
補助金・助成金は「資金繰りの即効薬ではない」
補助金や助成金を期待する方も多いですが、基本的に入金まで時間がかかります。
また、先に支出が発生する仕組みも多いため、資金繰りの即効薬にはなりにくい点に注意が必要です。
活用する場合は、「資金繰り表に入金タイミングを反映する」ことが大切です。
期待だけで資金計画を組むと、資金不足の原因になることがあります。
ポイント整理:赤字企業が立ち直るための道筋
赤字改善の重要ポイント
- 赤字の原因を「一時的」か「構造的」かで整理する
- 利益より先に資金繰り(キャッシュ)を確認する
- 粗利率を改善し、儲かる仕事に集中する
- 固定費を見直して損益分岐点を下げる
- 資金繰り表を作り、資金ショートを防ぐ
- 銀行には改善計画を持って説明する
【自社対応で問題ないケース】
- 赤字の原因が明確(投資・一時的要因など)
- 資金余力が十分にあり、改善まで時間がある
- 粗利や固定費の見直しが社内で進められる
この場合は、資金繰り表を作成し、計画的に改善を進めることで立ち直れる可能性があります。
【専門家に確認した方が安心なケース】
- 赤字の原因が分からず、数字が整理できていない
- 資金繰りが厳しく、数か月以内に資金不足が見える
- 銀行対応や融資の相談が必要
- 税金・社会保険の支払いが重く、資金計画が立てにくい
改善が必要なときほど、早めに整理することで選択肢が増えます。
よくある質問(Q&A)
Q1:赤字でも会社は続けられますか?
赤字でも資金があれば会社は継続できます。
ただし、赤字が続くと資金が減り、融資も難しくなるため、早めに改善策を打つことが重要です。
Q2:売上を増やせば赤字は解消できますか?
必ずしもそうとは限りません。
粗利率が低いまま売上を増やすと、資金繰りが悪化するケースもあります。
売上よりも「粗利が残る仕組み」を作ることが重要です。
Q3:赤字のときに融資は受けられますか?
状況によりますが、改善計画があり、返済可能性を説明できれば融資の余地はあります。
資金が尽きてからでは選択肢が狭まるため、早めに相談する方が現実的です。
まとめ:赤字からの回復は「順番」を間違えなければ進められる
赤字企業が立ち直るためには、勢いで動くのではなく、正しい順番で改善を進めることが大切です。
- まず資金繰りを確認する
- 次に粗利を改善する
- 固定費を見直し損益分岐点を下げる
- 資金繰り表で未来を管理する
この流れを押さえるだけでも、赤字脱却への道筋が見えてきます。
「どこから手を付けるべきか分からない」「資金繰りが不安」という場合は、一度数字を整理するだけでも安心感が変わります。
焦らず、現状を正しく把握しながら、立ち直りの計画を進めていきましょう。
