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経理担当者が辞めても困らない体制構築法

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「経理担当が急に辞めてしまった…」
「引き継ぎがなく、請求処理や支払いが止まってしまった…」

中小企業で最も多い“経理の悩み”が、経理担当者の退職による業務のストップです。特に属人化が進んだ状態では、社長や他の社員が急に経理を引き受ける羽目になり、本業が止まるという事態すら起こります。

しかし実は、いくつかのポイントを押さえておくだけで、
「誰が辞めても経理が回る体制」を作ることは可能です。

この記事では、今日から着手できる方法をわかりやすく整理してご紹介します。

■ 経理が止まる最大の原因は“属人化”

① 経理担当ひとりが全業務を抱える構造

中小企業では、「経理=1人任せ」というケースが非常に多いです。
その結果、

  • 領収書整理

  • 請求書作成

  • 支払い・入金管理

  • 給与計算

  • 試算表作成

  • 税理士とのやり取り

など、会社のお金に関わる重要業務を1人で抱え込みがちです。

しかも、担当者しか知らないエクセル管理や独自ルールが存在すると、辞めた瞬間に業務がブラックボックス化し、経理が完全に止まってしまいます。

② 属人化は「仕組み」ではなく「人」に依存した状態

“仕組み化”されていない経理は、人が辞めた瞬間に崩壊します。

原因は以下の通りです:

  • 手順が口頭でしか共有されていない

  • データ管理が担当者のパソコン任せ

  • パスワードや契約情報が共有されていない

  • アナログ作業が多く、誰がやっても再現できない

これらはすべて、「人が辞めても困る構造」を生み出しています。

■ 辞めても困らない経理体制の作り方

① 業務フローを“見える化”する

まず最初にやるべきことは、経理業務をすべて書き出すことです。

  • 請求書作成は誰がいつ行う?

  • ネットバンキングの支払いスケジュールは?

  • 領収書の回収ルールは?

  • 給与計算の流れは?

これらを紙やクラウド上で「経理マニュアル」にまとめれば、誰が担当しても同じ作業が可能になります。

見える化していない業務は、引き継ぎが不可能です。

② データは会社管理に一本化

属人化の典型例は「担当者のパソコンに全データが入っている」ことです。

すぐに以下を実施しましょう:

  • データはクラウドストレージに保管

  • パスワードは会社で管理

  • 契約情報・ログインIDは管理表にまとめる

  • 会計ソフトの権限を複数人が持てる状態にする

これらを徹底するだけで、退職後の混乱は大幅に減ります。

■ 外注を活用し“人依存のリスク”をゼロに近づける

① 経理の一部または全部を外注する

属人化の最大の解決策は、外注を活用することです。

外注にすると:

  • 退職リスクゼロ

  • 税理士法人内で複数名が対応

  • 知識レベル・品質が均一

  • 経理が止まらない仕組みが完成

社内で無理に担当者を育てなくても、安定した経理体制が整います。

② 給与計算だけでも外注して負担軽減

経理の中で最もミスが許されないのが給与計算です。
社労士・税理士がチェックしながら行う外注サービスを使えば、人的トラブルも大幅に減らせます。

外注は「丸投げ」ではなく、
“経営リスクを減らす経営判断” として非常に有効です。

 ポイント整理

経理担当者が辞めても困らない会社の特徴

  • 経理業務が可視化されている

  • 経理データがクラウドで共有されている

  • パスワード・契約管理が会社に集約

  • マニュアルがあり、誰でも再現できる

  • 外注を活用し、担当者退職の影響が最小限

  • 経理の属人化がゼロに近い体制

 よくある質問(FAQ)

Q1:経理マニュアルはどこまで細かく作るべき?

A:新人でも同じ作業ができるレベルが理想です。
操作手順、締め日のルール、データ保存の場所など、再現できる内容を書き出しましょう。

Q2:外注と社内経理のどちらが良いですか?

A:会社の規模や業務量によります。
ただし、退職リスクを減らす観点では、外注を組み合わせると安定性が高まります。

Q3:経理は2人以上いた方がよいですか?

A:可能であれば、2人体制以上をおすすめします。
1人で経理を担当している場合、休職・退職・急な欠勤による業務停止リスクが大きく、月次や支払処理が滞る可能性があります。
2人以上いれば、相互チェックによるミス防止や、繁忙期の業務分散ができ、経営の安定につながります。

ただし、人件費の問題で2人体制が難しい会社もあります。
その場合は、

一部業務だけ外注する
マニュアル化を進めて属人化を防ぐ
定型業務をクラウド会計で効率化する
など、実質的に「2人体制に近づける」仕組みづくりが重要です。

まとめ

経理担当者の退職は、会社経営に直結する大きなリスクです。
しかし、業務の見える化・データ共有・外注の活用によって、誰が辞めても困らない経理体制は必ず実現できます。

「うちも属人化しているかも…」
「退職されたら業務が止まるのが不安…」

そんな経営者の方は、ぜひ 税理士法人ビジョン・ナビの無料相談 へお気軽にご相談ください。
あなたの会社に合った最適な経理体制づくりをサポートいたします!

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。