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税務調査で指摘されやすい項目とは?中小企業が今すぐ確認すべきポイント

税理士 林遼平

税理士 林遼平

「うちは大丈夫」と思っていませんか?

「税務調査と聞くだけで不安になる」
「特に悪いことはしていないけれど、何を見られるのか分からない」

このように感じる中小企業経営者や個人事業主の方は少なくありません。

実際、税務調査は“脱税をしている会社”だけが対象になるわけではありません。売上規模や業種、利益率の変動などをもとに、一定の確率で調査対象になります。そして、多くのケースで何らかの修正指摘が入るのも事実です。

しかしご安心ください。
税務調査で指摘されやすい項目を事前に理解し、対策しておくことでリスクは大きく減らせます。

この記事では、「税務調査」「指摘されやすい項目」「中小企業」「事前対策」といった重要ポイントを押さえながら、経営者として知っておくべき内容を分かりやすく解説します。

① 売上計上漏れは最もチェックされる項目

なぜ売上は重点的に見られるのか?

税務調査で最も重視されるのが売上の計上漏れです。
理由はシンプルで、売上が増えればそのまま課税所得が増えるからです。

税務署は、以下のような観点で確認します。

  • 入金ベースと売上計上のタイミングのズレ
  • 期末前後の売上計上基準
  • 現金売上の管理状況

特に「決算月だけ売上が急減している」「翌期に売上が急増している」といった動きはチェックされやすくなります。

売上の計上基準は明確にしているか?

売上は原則として発生主義で計上します。
入金日ではなく、「サービス提供日」や「納品日」が基準です。

国税庁でも収益認識の基本的な考え方が示されています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

売上計上基準が曖昧な場合、税務調査で修正を求められる可能性が高くなります。社内ルールを明確にしておくことが重要です。

② 交際費・外注費は内容まで確認される

交際費は“名目”より“実態”

中小企業で指摘されやすいのが交際費の取り扱いです。

例えば、

  • 実態は個人的な飲食なのに会社経費にしている
  • 参加者や目的が記録されていない
  • 会議費と交際費の区分が曖昧

といったケースです。

交際費は一定の損金算入限度額がありますが(中小法人は800万円までなど)、内容が不明確な場合は否認される可能性があります。

外注費と給与の区分も要注意

個人事業主や小規模法人で多いのが、外注費と給与の区分に関する指摘です。

税務上、「実態が雇用」であれば給与と判断されることがあります。
その場合、

  • 源泉所得税の未徴収
  • 社会保険未加入
  • 消費税の取り扱い誤り

といった問題が連鎖的に発生します。

契約書の有無、指揮命令関係、専属性などが判断材料になります。

③ 役員報酬・役員貸付金は重点チェック項目

役員報酬は原則“定期同額”

法人税法では、役員報酬は原則として定期同額給与でなければ損金算入できません。

期中で自由に増減させると、増額部分が損金不算入となる可能性があります。

「業績が良かったから途中で増やした」
「資金繰りが厳しいから途中で減らした」

このようなケースは、税務調査で確認されやすいポイントです。

役員貸付金は経営リスクのサイン

決算書に「役員貸付金」が多額に計上されている場合、ほぼ確実に質問されます。

  • いつ返済するのか
  • 利息は設定しているか
  • 私的流用ではないか

役員貸付金は、金融機関からの信用低下にもつながる重要項目です。

④ 消費税の処理ミスも増えている

課税・非課税の区分は正しいか?

消費税は「課税」「非課税」「不課税」の区分を正しく行う必要があります。

例えば、

  • 家賃収入(居住用は非課税)
  • 保険金収入(不課税)
  • 補助金の取り扱い

などは間違いやすい項目です。

インボイス制度開始後は、仕入税額控除の要件も厳格化されています。

簡易課税制度の選択は適切か?

簡易課税制度を選択している場合、みなし仕入率の適用区分が正しいかどうか確認されます。

業種区分を誤ると、消費税額が大きく変わります。
事業内容の実態と届出内容が一致しているか確認しておきましょう。

⑤ 税務調査で指摘されやすい項目まとめ

✔ 主なチェックポイント一覧

項目 指摘されやすい理由
売上計上漏れ 課税所得に直結するため
交際費 私的利用との区別が曖昧
外注費 実態が給与と判断される
役員報酬 定期同額でないケース
役員貸付金 私的流用の疑い
消費税区分 課税区分の誤り

✔ 事前にできる対策

  • 売上計上基準を明文化する
  • 経費の証憑を保存する
  • 契約書を整備する
  • 税理士と事前ミーティングを行う

「調査が来てから対応」ではなく、日頃の管理体制が最大の防御策です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 税務調査は何年分さかのぼられますか?

通常は3年分ですが、悪質と判断された場合は5年、場合によっては7年さかのぼられることもあります。

Q2. 税務調査で必ず追徴課税されますか?

必ずではありません。ただし、軽微な修正が入るケースは多いです。事前準備ができていれば、大きな問題に発展する可能性は下げられます。

Q3. 税務調査の連絡が来たらどうすればいいですか?

まずは顧問税理士へ連絡してください。日程調整や資料準備、当日の立会いまで専門家が対応することで、心理的負担も軽減されます。

まとめ|税務調査対策は“経営管理の質”で決まる

税務調査で指摘されやすい項目には、共通点があります。
それは「管理が曖昧な部分」です。

売上管理、経費の証憑、役員報酬の決定方法。
これらが整理されていれば、税務調査は過度に恐れるものではありません。

むしろ、経営体制を見直す良い機会とも言えます。

税理士法人ビジョン・ナビでは、税務調査の立会いはもちろん、事前対策のチェック体制構築支援も行っております。

「自社は大丈夫か確認したい」
「セカンドオピニオンを受けたい」

そのような方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。
早めの準備が、会社を守る最大のリスク対策になります

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。