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子ども・子育て支援金はいくら引かれる?給与からの控除額と計算方法を会社向けに解説

吉本亘

吉本亘

令和8年度から、子ども・子育て支援金の負担が始まります。会社の経理担当者や給与計算担当者の方にとっては、「従業員の給与からいくら引かれるのか」「会社負担はどれくらい増えるのか」「給与明細でどう説明すればよいのか」が気になるところではないでしょうか。

特に中小企業では、給与計算や社会保険料の確認を少人数で行っていることも多く、新しい控除項目が増えると、従業員からの質問対応まで含めて準備が必要になります。

結論からいうと、被用者保険に加入している従業員の場合、令和8年度の子ども・子育て支援金は、標準報酬月額に支援金率をかけ、その半分が従業員負担の目安になります。

こども家庭庁では、令和8年度の一律の支援金率は0.23%、基本的に支援金額の半分は企業が負担、令和8年4月保険料、つまり5月給与天引き分から拠出すると示しています。

ただし、ここで注意したいのは、毎月の実際の給与額にそのまま0.23%をかけるわけではないという点です。計算の基礎になるのは、社会保険料の計算でも使う「標準報酬月額」です。

給与からの控除額の計算方法

子ども・子育て支援金の給与からの控除額は、次の流れで考えると整理しやすくなります。

確認項目 内容
対象 被用者保険に加入している従業員
計算のもと 標準報酬月額
令和8年度の支援金率 0.23%
従業員負担 支援金額の半分が目安
会社負担 支援金額の半分が目安
開始時期 令和8年4月保険料、5月給与天引き分から

計算式で見ると、次のようになります。

標準報酬月額 × 0.23% = 支援金額
支援金額 ÷ 2 = 従業員の給与から控除される金額の目安

たとえば、標準報酬月額が300,000円の場合は、次のようなイメージです。

項目 計算
支援金額 300,000円 × 0.23% = 690円
従業員負担の目安 690円 ÷ 2 = 345円
会社負担の目安 690円 ÷ 2 = 345円

この場合、従業員の給与から引かれる金額の目安は345円です。
同時に、会社も345円程度を負担することになるため、給与明細上の控除額だけでなく、会社側の法定福利費や人件費への影響も確認しておく必要があります。

ただし、実際の金額は、加入している医療保険、端数処理、給与計算ソフトの設定などによって見え方が変わる可能性があります。会社では、計算式だけで判断せず、実際の保険料通知や給与計算ソフト上の反映内容も確認しておくと安心です。

給与額ではなく「標準報酬月額」で見る点に注意

従業員から「月給30万円なら、30万円に0.23%をかければいいのですか」と聞かれることがあるかもしれません。

ここで押さえたいのが、子ども・子育て支援金は、毎月の実際の給与額そのものではなく、社会保険料の計算で使う標準報酬月額をもとに確認するという点です。

標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために、給与を一定の等級に当てはめた金額です。実際の給与額と完全に一致するとは限りません。残業代や各種手当が月によって変わる会社では、実際の支給額と標準報酬月額に差が出ることもあります。

そのため、会社側では次の3点を確認しておきたいところです。

確認すること 見るポイント
標準報酬月額 社会保険料の計算基礎になっている等級
給与計算ソフト 支援金が正しい時期・料率で反映されているか
給与明細 従業員にどのように表示され、説明できるか

従業員に説明するときは、細かい制度説明をすべて伝えるよりも、まずは次のように整理すると伝わりやすくなります。

子ども・子育て支援金は、毎月の実際の給与額ではなく、社会保険料の計算で使う標準報酬月額をもとに計算されます。
また、従業員だけが負担するものではなく、会社も一定額を負担する仕組みです。

給与明細での見え方や、従業員に説明するときのポイントについては、以下の記事で詳しく整理しています。

あわせて読みたい:
給与明細の「子ども・子育て支援金」とは?会社が従業員に説明したい控除・給与計算のポイント

本記事では、主に「いくら引かれるのか」「控除額をどう計算するのか」に絞って解説しています。給与明細上の表示や、従業員から質問されたときの説明を整理したい場合は、上記の記事もあわせて確認すると分かりやすくなります。

会社負担・賞与・月次管理で確認したいポイント

子ども・子育て支援金は、1人あたりの金額だけを見ると大きく感じにくいかもしれません。
しかし、会社全体で見ると、従業員数に応じて会社負担分も積み上がります。

また、企業の従業員については、給料だけでなくボーナスからも支援金を拠出するとされています。賞与を支給する会社では、毎月給与だけでなく、賞与計算時の反映も確認が必要です。

会社側で特に確認したいのは、次の4つです。

1. 給与計算ソフトの設定

まずは、給与計算ソフトで支援金が正しく反映されるかを確認します。

確認したい項目は、料率、開始月、控除項目の表示、会社負担分の集計、賞与計算への反映です。特に初回の給与計算では、従業員から質問が出やすいため、給与担当者が説明できる状態にしておくと安心です。

2. 会社負担分の法定福利費

子ども・子育て支援金は、従業員の給与から控除する分だけでなく、会社負担分もあります。

そのため、会社としては「従業員はいくら引かれるのか」だけでなく、会社全体の法定福利費がどの程度増えるのかを確認しておく必要があります。月次試算表を見るときも、給与本体だけでなく、社会保険料や支援金の会社負担分まで含めて人件費を確認することが大切です。

3. 賞与計算への反映

賞与を支給する会社では、毎月給与とは別に、賞与計算でも支援金の反映を確認します。

夏季賞与や冬季賞与のタイミングでは、従業員から「手取りが思ったより少ない」「この控除は何か」と聞かれることもあります。賞与明細にどのように表示されるのか、会社としてどのように説明するのかを事前に整理しておくとよいでしょう。

4. 資金繰りへの影響

支援金単体では小さな金額に見えても、給与、社会保険料、源泉所得税、住民税、労働保険料などの支払いと重なると、資金繰りに影響します。

給与計算が終わった後に、次の項目を一覧で確認できる状態にしておくと、社長や経理担当者が資金繰りを判断しやすくなります。

月次で確認したい項目 内容
給与支給額 従業員に支払う給与総額
従業員控除額 社会保険料、税金、支援金など
会社負担分 社会保険料、支援金などの法定福利費
納付予定 社会保険料、源泉所得税、住民税など
預金残高 支払い後に残る資金

制度の金額だけを確認して終わるのではなく、月次の人件費や資金繰りに反映して見ることで、経営判断に使いやすい数字になります。

自社で整理しやすいケース・専門家に確認した方がよいケース

子ども・子育て支援金の控除額は、基本的な計算式を押さえれば、自社で整理できる部分もあります。

自社で整理しやすいケース

次のような状態であれば、まずは社内で確認しやすいです。

  • 標準報酬月額を確認できる
  • 給与計算ソフトの更新内容を把握している
  • 給与明細の表示項目を確認できる
  • 会社負担分を法定福利費として集計できる
  • 賞与計算時の反映も確認できる
  • 従業員向けの簡単な説明文を用意できる

この場合は、公的情報や給与計算ソフトの案内を確認しながら、自社の給与計算に当てはめて整理していくとよいでしょう。

専門家に確認した方が安心なケース

一方で、次のような場合は、早めに専門家へ確認しておくと安心です。

  • 従業員数が多く、会社負担分の影響が大きい
  • 給与計算ソフトの設定に不安がある
  • 給与明細の表示方法をどうするか迷っている
  • 賞与計算への反映が不安
  • 法定福利費や人件費の月次管理ができていない
  • 給与計算、経理、労務の担当が分かれていて連携しづらい
  • 社長が人件費や資金繰りを月次で把握できていない

子ども・子育て支援金は、単なる新しい控除項目ではありません。給与計算、従業員説明、会社負担、人件費管理、資金繰りまで関係する実務テーマです。

よくある質問

Q1. 子ども・子育て支援金は、給与額に0.23%をかければよいですか?

被用者保険に加入している従業員の場合、毎月の実際の給与額ではなく、標準報酬月額をもとに計算します。令和8年度の支援金率は0.23%とされており、従業員の負担額はその半分が目安になります。

Q2. 会社も子ども・子育て支援金を負担しますか?

被用者保険については、基本的に支援金額の半分を企業が負担するとされています。従業員から控除する金額だけでなく、会社負担分も法定福利費や人件費として確認しておくことが大切です。

Q3. 給与明細には必ず「子ども・子育て支援金」と表示されますか?

給与明細でどのように表示されるかは、給与計算ソフトや会社の設定によって異なる可能性があります。従業員から質問されたときに説明できるよう、表示方法や健康保険料との関係を事前に確認しておくとよいでしょう。

Q4. 賞与からも子ども・子育て支援金は引かれますか?

企業の従業員については、給料だけでなくボーナスからも支援金を拠出するとされています。賞与を支給する会社では、毎月給与とは別に、賞与計算での反映も確認しておく必要があります。

まとめ

子ども・子育て支援金の給与からの控除額は、毎月の実際の給与額ではなく、社会保険料の計算で使う標準報酬月額をもとに確認します。

令和8年度の被用者保険では、標準報酬月額に支援金率0.23%をかけ、その半分が従業員負担の目安になります。もう半分は会社負担となるため、給与明細上の控除額だけでなく、会社側の法定福利費や人件費への影響も確認しておくことが大切です。

会社側では、次の点を整理しておきましょう。

  • 標準報酬月額をもとに控除額を確認する
  • 給与計算ソフトの反映時期と料率を確認する
  • 給与明細での表示方法を確認する
  • 会社負担分を法定福利費として月次で見る
  • 賞与計算にも反映されるか確認する
  • 従業員から質問されたときの説明を準備しておく

税理士法人ビジョン・ナビでは、給与計算そのものだけでなく、月次試算表や資金繰り、人件費の見える化まで含めて、中小企業の経理体制づくりをサポートしています。

「給与計算ソフトの設定が正しいか不安」
「会社負担分を月次でどう確認すればよいか分からない」
「従業員への説明や給与明細の見せ方を整理したい」
「社会保険料や税金の支払いまで含めて資金繰りを見直したい」

このような場合は、自社の給与・経理・資金繰りの流れを一度整理しておくと安心です。子ども・子育て支援金をきっかけに、給与計算と月次管理の体制を見直してみてはいかがでしょうか。

 

吉本亘
執筆者:吉本亘
吉本亘(よしもととおる)税理士法人ビジョン・ナビ所属。入社以来、税理士補助として中小企業・個人事業主の月次処理や決算・申告関連のサポート業務に携わる。数字を「経営判断に使える形」に整えることを意識し、実務の現場で起こりやすい勘違いやつまずきポイントを、わかりやすく整理して伝えることを重視している。現在は業務と並行して、事務所ブログの企画・改善にも取り組んでいる。