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初めての決算準備で慌てないために|決算前に確認したいこと一覧

吉本亘

吉本亘

会社を作って最初の決算が近づくと、「何をいつまでに確認すればいいのか分からない」「会計ソフトは入れているけれど、このまま締めてよいのか不安」という声をよく聞きます。初回の決算は、単に数字をまとめるだけではなく、売上や経費の計上漏れ、在庫や固定資産の整理、税務申告の前提確認まで必要になります。この記事では、初めての決算準備で慌てないために、決算前に確認したいポイントを順番に整理してご紹介します。

決算準備は「決算日」ではなく「決算前」から始める

まずは申告期限から逆算する

法人税の確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出する必要があります。つまり、3月決算なら通常は5月末までに申告と納付を行う流れです。決算日を迎えてから資料を集め始めると、数字の確認、仕訳の修正、申告書の作成が短期間に集中しやすくなります。初めての決算ほど、決算日の1か月以上前から確認を始め、どの資料が未回収か、どの論点が残っているかを一覧にしておくと進めやすくなります。

初回決算で慌てやすい理由

初めての決算で混乱しやすいのは、日々の記帳ができていても、「決算でしか確認しない項目」があるからです。たとえば、棚卸資産の金額、固定資産の減価償却、未払費用の計上、役員借入金や立替金の整理などは、月次では粗く処理していても、決算では整合性が求められます。法人税は、企業会計上の利益をベースにしつつ、税務上の加算・減算を行って所得金額を計算するため、普段の会計処理と申告が完全に同じとは限らない点も初回でつまずきやすいポイントです。

決算前に確認したい数字の基本

売上と請求漏れがないかを確認する

決算前にまず見たいのは、売上の計上漏れや請求漏れがないかです。請求書を発行していない案件、入金はまだでも当期の売上に当たる取引、逆に翌期分を前倒しで計上していないかなどを確認します。特に創業初年度は、現金入金ベースで感覚的に売上を見てしまいがちですが、決算では「いつの取引か」を意識して整理することが大切です。売掛金残高と請求書、入金予定を突き合わせておくと、申告直前の修正を減らしやすくなります。

経費・未払費用・立替精算を整理する

経費側では、領収書や請求書の未回収、個人立替の未精算、クレジットカード利用分の計上漏れを確認します。あわせて、決算月までに発生しているのに未払いの費用がないかも重要です。通信費、外注費、顧問料などは、支払日が翌月でも当期負担に当たることがあります。創業初年度は、法人口座と個人口座、法人カードと個人カードが混ざりやすいため、事業用支出を決算前にまとめて洗い出しておくと、後で帳簿の整合性を取りやすくなります。

棚卸・固定資産・消費税は早めの確認が大切

在庫と固定資産は税額にも影響しやすい

商品や材料を扱う会社では、決算日時点の在庫を確認しないと売上原価が正しく出ません。また、パソコン、備品、機械設備などの購入がある場合は、単純に経費処理してよいものか、固定資産として減価償却するべきかの確認が必要です。初年度は件数が少ないぶん見落としやすいですが、金額が大きい支出ほど利益や税額への影響も大きくなります。棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法の届出は、普通法人を設立した場合、最初の事業年度の確定申告書の提出期限までが一つの区切りです。

消費税は「申告しない前提」で進めない

創業初年度の法人は、基準期間がないため、原則として消費税の納税義務が免除されるケースが多いです。ただし、新設法人でも資本金や特定新規設立法人の判定などにより、免税にならない場合があります。さらに、インボイス登録のために課税事業者を選択しているケースでは、初年度から消費税申告が必要になることもあります。決算直前になってから確認すると処理方針が大きく変わるため、「うちは初年度だから大丈夫」と決めつけず、決算前の段階で必ず整理しておきたい論点です。

決算前に最低限そろえたい書類とチェックポイント

帳簿・証憑・届出の有無を見直す

決算前には、試算表だけでなく、その元になる帳簿や証憑がそろっているかも確認したいところです。国税庁では、法人は帳簿や決算関係書類などを原則7年間保存するとしています。領収書、請求書、契約書、通帳、カード明細、給与資料などがバラバラだと、決算だけでなく申告後の確認もしにくくなります。あわせて、青色申告の承認申請書や、必要に応じた各種届出を出しているかも、このタイミングで見直しておくと安心です。

決算前チェックリスト

決算前は、次の順で確認すると整理しやすくなります。

  • 売上・請求漏れがないか
  • 経費資料、立替、未払費用が整理できているか
  • 在庫数と固定資産の購入内容を確認したか
  • 消費税申告の要否を判断したか
  • 帳簿・証憑・届出書類がそろっているか
    最初の決算では、完璧に高度な論点まで押さえるよりも、まず「漏れやすい基本」をつぶすことが大切です。ここが整うだけで、決算・申告の負担はかなり変わります。

よくある質問Q&A

Q1. 会計ソフトに入力していれば、そのまま決算できますか?

会計ソフトへの入力は大前提として重要ですが、それだけで十分とは限りません。決算では、売上計上時期の確認、未払費用の整理、在庫や固定資産の確認など、期末時点での見直しが必要です。入力済みでも、証憑との突合や、決算整理仕訳が必要になる場面は少なくありません。

Q2. 初年度の赤字でも決算申告は必要ですか?

必要です。法人は、利益が出ているか赤字かにかかわらず、原則として各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出する必要があります。赤字だから何もしなくてよい、ということではないため注意が必要です。

まとめ

初めての決算準備では、売上や経費の入力が終わっていることよりも、決算前に何を確認するかが大切です。特に、売上・経費・棚卸・固定資産・消費税・保存書類は、初年度に漏れやすいポイントです。まずは申告期限から逆算し、確認項目を一覧でつぶしていくと、決算直前の慌ただしさを減らしやすくなります。判断に迷う点がある場合は、決算日直前ではなく、少し早めに専門家へ確認するという進め方も選択肢の一つです。

参考リンク
国税庁「法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」
国税庁「帳簿書類等の保存期間」

吉本亘
執筆者:吉本亘
吉本亘(よしもととおる)税理士法人ビジョン・ナビ所属。入社以来、税理士補助として中小企業・個人事業主の月次処理や決算・申告関連のサポート業務に携わる。数字を「経営判断に使える形」に整えることを意識し、実務の現場で起こりやすい勘違いやつまずきポイントを、わかりやすく整理して伝えることを重視している。現在は業務と並行して、事務所ブログの企画・改善にも取り組んでいる。