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予定納税の減額申請とは?条件・手続き・注意点を解説

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

予定納税は、前年の所得を基に計算されるため、実際の利益が減少している年には「支払うのが厳しい…」と感じる方も少なくありません。そんなときに検討できるのが 「予定納税の減額申請」 です。

この記事では、予定納税の減額申請について「申請できる条件」「手続きの流れ」「注意点」をわかりやすく解説します。

予定納税の減額申請とは?

予定納税は、前年の確定申告で納めた税額を基に算出されます。しかし、今年の所得や利益が大きく下がっている場合、前年の水準で納めるのは資金繰りを圧迫してしまいます。

そこで、税務署に「予定納税の減額申請」を行うことで、実際の所得見込みに応じて予定納税額を減らすことが可能です。

減額申請が認められる条件

減額申請を行えるのは、次のようなケースです。

  • 前年よりも 利益(所得)が減少する見込み がある場合

  • 災害・盗難などの影響で、事業収入が大きく落ち込んだ場合

  • 赤字決算になることが予想される場合

👉 重要なのは「合理的に減少を見込める根拠」があることです。単なる希望ではなく、売上推移や経費の増加などを証明できる必要があります。

減額申請の手続き方法

1. 提出先

所轄の税務署に「予定納税の減額申請書」を提出します。

2. 提出期限

  • 第1期(7月納付分)については、 7月15日まで

  • 第2期(11月納付分)については、 11月15日まで

(※年によって若干異なる場合があるため、必ず税務署の案内を確認してください)

3. 必要書類

  • 予定納税の減額申請書

  • 減額を見込む理由を説明する資料(試算表、売上推移表など)

4. 手続きの流れ

  1. 直近の業績をもとに利益見込みを試算

  2. 減額申請書に必要事項を記入

  3. 証拠資料を添付して税務署に提出

  4. 税務署が内容を審査し、認められれば予定納税額が減額

減額申請の注意点

  • ✅ あくまで「見込み」に基づくため、根拠資料が重要

  • ✅ 認められるかどうかは税務署の判断による

  • ✅ 減額が認められなかった場合は、通常どおりの納付が必要

  • ✅ 過度な減額申請は、翌年の本申告時に追加納税の負担が増えるリスクがある

減額申請を活用すべきケース

  • 売上が前年よりも20%以上減少している

  • 主力取引先との契約終了により大幅な減収が見込まれる

  • 災害やコロナ禍などで一時的に業績が悪化している

  • 多額の設備投資や人件費増加により赤字が見込まれる

こうしたケースでは、無理に予定納税を行うよりも、資金を事業に回すために減額申請を行った方が経営の安定につながります。

まとめ

予定納税の減額申請は、 業績悪化や赤字見込みのある年に資金繰りを守るための有効な手段 です。

  • 前年より利益が減る見込みなら申請可能

  • 提出期限は 7月15日・11月15日まで

  • 根拠となる資料を添えて税務署へ提出

  • 認められれば予定納税額を減額できる

ただし、安易な申請はリスクもあるため、必ず試算表などの数字をもとに判断することが重要です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、予定納税の試算から減額申請のサポートまで対応しています。

👉 「予定納税が負担になっている」
👉 「減額申請できるかどうか判断に迷っている」

という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。