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経営会議の議題にすべき3つの数字|中小企業が押さえるべき財務指標とは

税理士 林遼平

税理士 林遼平

経営会議が「報告の場」になっていませんか?

「経営会議を開いているが、数字の報告だけで終わっている」
「何を議題にすべきか分からず、議論が深まらない」

中小企業の経営者から、このような声をよく聞きます。

経営会議は、本来「過去を振り返る場」ではなく、未来の意思決定をする場です。そのためには、議論の軸となる数字が必要です。

この記事では、成長している企業が経営会議で必ず確認している「3つの数字」を解説します。難しい専門指標ではなく、すぐに実践できる内容に絞って整理します。

① 売上高|“結果”ではなく「構造」を見る

売上は分解して見るのが基本

売上高は最も分かりやすい指標ですが、合計金額だけを見ても意味は薄くなります。重要なのは、売上を分解して見ることです。

たとえば、

  • 既存顧客と新規顧客の比率
  • 商品・サービス別の売上構成
  • 単価 × 件数

こうした視点で見ると、売上が増えた理由、減った理由が明確になります。

単純に「売上が前年比105%」という報告ではなく、「なぜその結果になったのか」を議論できる状態が理想です。

売上の質を確認する

売上には“質”があります。たとえば、値引きによる一時的な売上増なのか、継続契約による安定収入なのかでは意味が異なります。

また、入金サイト(回収までの期間)が長い売上が増えると、資金繰りが苦しくなることもあります。

経営会議では、「売上=良いこと」と単純に捉えるのではなく、利益や資金繰りへの影響まで含めて確認する視点が重要です。

② 営業利益|会社の“稼ぐ力”を示す数字

営業利益は本業の実力

営業利益とは、本業でどれだけ利益を出せているかを示す数字です。売上から仕入や人件費、経費などを差し引いた結果が営業利益です。

経常利益や最終利益も重要ですが、まず確認すべきは営業利益です。
なぜなら、本業がしっかり利益を出せていなければ、継続的な成長は難しいからです。

営業利益が安定していれば、投資や採用の判断も前向きにできます。

固定費の増加に注意する

成長段階では、人件費や家賃などの固定費が増える傾向があります。固定費が増えると、売上が少し落ちただけで利益が急減するリスクがあります。

経営会議では、

  • 固定費はいくらか
  • 売上が何%落ちると赤字になるか

といった視点を持つと、より現実的な議論が可能になります。

利益は結果ですが、その背景にあるコスト構造を把握することが重要です。

③ キャッシュ(資金残高)|最も重要な安全指標

利益よりも先に尽きるのがキャッシュ

「黒字なのに資金が足りない」というケースは珍しくありません。理由は、利益と現金の動きが一致しないからです。

売掛金が増えれば利益は出ますが、入金までは現金は増えません。一方で、仕入や外注費はすぐに支払う必要があります。

そのため、経営会議では必ず現在の資金残高と、数か月先の見込み残高を確認する必要があります。

資金繰り表を活用すれば、将来の残高予測も把握できます。

何か月分の固定費をカバーできるか

成長企業は、「今の資金で何か月持つか」を常に意識しています。

目安として、最低でも固定費の3か月分以上の資金余力があると安心感が増します。
資金余力が少ない場合は、投資や採用のスピードを調整する判断も必要になります。

キャッシュは会社の体力そのものです。経営会議では、売上や利益と同じくらい重要視すべき数字です。

3つの数字をどう活用するか

単月ではなく“流れ”を見る

数字は単月で見るとブレます。大切なのは、3か月〜6か月の推移を見ることです。

  • 売上は右肩上がりか
  • 利益率は安定しているか
  • キャッシュは減少傾向か

流れを見ることで、問題の兆候を早めに察知できます。

数字から「次の行動」を決める

経営会議は、報告会ではありません。
数字を確認したら、「では次に何をするか」を決めることが重要です。

たとえば、

  • 売上が減少 → 新規営業を強化
  • 利益率低下 → 原価の見直し
  • キャッシュ不足 → 融資検討

数字は行動につなげてこそ意味があります。

ポイント整理|経営会議で必ず確認すべき3つ

数字 見るポイント
売上高 構造・質・成長性
営業利益 本業の稼ぐ力・固定費構造
キャッシュ 現在残高・将来予測

重要ポイント

  • 合計額だけでなく中身を見る
  • 単月ではなく推移を見る
  • 数字から行動を決める

よくある質問(Q&A)

Q1:経営会議は毎月必要ですか?

可能であれば毎月行うのが理想です。月次決算が整っていれば、タイムリーな判断が可能になります。最低でも四半期に一度は数字を整理することをおすすめします。

Q2:数字が苦手でも経営会議はできますか?

難しい分析は不要です。まずは売上・利益・資金残高の3つを確認するだけでも十分です。慣れてきたら、徐々に予実管理や部門別分析を取り入れると良いでしょう。

Q3:どこまで詳細に分析すべきですか?

会社規模によりますが、最初はシンプルで構いません。重要なのは、毎月継続できる仕組みにすることです。

まとめ:経営会議は「未来を決める時間」にする

経営会議の質は、確認する数字で決まります。
売上・営業利益・キャッシュの3つを軸にすれば、議論は自然と未来志向になります。

難しい財務指標を並べる必要はありません。
まずは、この3つの数字を毎月確認し、そこから次の一手を決める習慣を作ることが大切です。

もし「数字の整理方法が分からない」「資金繰りの見通しが不安」と感じる場合は、専門家に確認するという選択肢もあります。
無理のない形で、経営の土台を整えていきましょう。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。