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法人利益が出すぎた時の対処法とは?節税と今後の戦略を税理士が解説

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「思った以上に利益が出てしまった…」
「税金が高くなりそうで不安…どうすればいいの?」

中小企業の経営者や個人事業主の中には、期末になって初めて「利益が出過ぎていた」と気づくケースも少なくありません。利益が出るのは良いことですが、その分法人税や消費税などの税負担が大きくなるため、適切な対策をしないとキャッシュフローに悪影響を及ぼすこともあります。

この記事では、法人利益が出すぎた場合のリスクと具体的な対処法を、京都・関西圏の企業の実情も交えながら分かりやすく解説します。

利益が出すぎると起きるリスクとは?

利益が大きくなると、当然ながら税金も多く発生します。特に注意すべきは以下のような項目です:

税目 内容
法人税 約23.2%(中小企業の場合)〜の税率が適用
地方法人税・住民税 合算で実質30%程度の税率になるケースも
消費税 売上が1,000万円を超えると翌々期から課税対象に
社会保険料 役員報酬増加に伴って保険料も増加
 
また、利益が出すぎると、翌年度以降の節税対策が難しくなったり、補助金の対象から外れたりする可能性もあるため注意が必要です。

法人利益が出すぎたときの主な対処法

1. 決算賞与の支給

期末直前であっても、「決算賞与」として従業員にボーナスを支給することで損金(経費)処理が可能です。ただし、次のような要件を満たす必要があります:

  • 決算日までに支給額を通知していること

  • 決算後1ヶ月以内に支払うこと

賞与によって従業員の士気も上がり、一石二鳥の対策となります。

2. 中小企業向けの節税制度を活用

制度名 内容
中小企業倒産防止共済 最大800万円まで積立可能で全額損金にできる
小規模企業共済 個人事業主や役員が加入可。掛金は所得控除対象
企業年金制度の導入 厚生年金基金などを活用して福利厚生を充実
 
これらの制度は将来の備えにもなりつつ節税が可能なため、利益が出た年には積極的に活用しましょう。

3. 必要な設備投資・消耗品の購入

将来的に必要なパソコンや備品、ソフトウェアの導入を期末までに前倒しして購入することで、当期の経費とすることができます。
特に30万円未満の少額減価償却資産は、即時に損金計上可能です(条件あり)。

4. 役員報酬の見直し(翌期以降)

当期には間に合いませんが、翌期以降の節税対策として、役員報酬の調整も重要です。
定期同額給与のルールにより、報酬額は期首で決定する必要があるため、今のうちからシミュレーションを行っておくことがカギになります。

京都・関西圏の企業に向けたアドバイス

京都や関西圏では、製造業・観光業・クリエイティブ産業など、季節変動が大きいビジネスモデルも多く、予想以上に利益が集中することも珍しくありません。

たとえば、観光業ではインバウンドの回復やイベント需要の急増により、数ヶ月で前年の倍以上の売上が出たという事例も見られます。

このような「利益急増」に備えるためにも、定期的な税理士との面談・試算が重要です。ビジョン・ナビでは四半期ごとの業績予測や利益シミュレーションサービスもご提供しています。

よくある質問(Q&A)

Q1. 決算直前でもできる節税対策はありますか?

A. はい、決算賞与や消耗品購入、倒産防止共済の加入など、決算月内に実行できる対策は複数あります。 税理士と連携して、速やかに実行しましょう。

Q2. 利益が出すぎて補助金がもらえないことはありますか?

A. 一部の補助金制度では、所得額によって対象外になるケースがあります。 事前に制度の要件を確認し、必要に応じて戦略的に利益調整を行うことが大切です。

まとめ:利益が出過ぎたら「急いで相談」するのが最善

利益が多く出ることは喜ばしいことですが、税金やキャッシュフローの管理が難しくなることもあるため、早めの対策が非常に重要です。

  • 決算賞与や共済制度の活用

  • 必要な支出の前倒し

  • 翌期以降の報酬や事業計画の見直し

これらを戦略的に行うことで、利益を次の成長につなげることができます。

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税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。