京都府の最低賃金が、現在の時給1,122円から1,180円へ、58円引き上げられる見込みとなりました。
2026年8月に京都地方最低賃金審議会が答申を行い、厚生労働省が9月3日に公表した全国の答申状況では、京都府の新しい最低賃金は1,180円、発効予定日は2026年11月16日とされています。
最低賃金の引き上げは、パート・アルバイトだけの問題ではありません。
月給制の正社員であっても、時給換算すると最低賃金を下回っているケースがあります。また、賃上げによって人件費が増えるため、中小企業にとっては今後の利益や資金繰りにも影響する重要な改定です。
さらに2026年度は、賃上げと設備投資を行う中小企業を支援する「業務改善助成金」も9月1日から受付が開始されています。
この記事では、京都府の2026年度最低賃金について、
「いつから変わるのか」「自社は何を確認すればいいのか」「業務改善助成金を使える可能性はあるのか」
を中小企業経営者向けにわかりやすく解説します。
2026年の京都府最低賃金は1,180円へ
まず、今回の変更内容を整理してみましょう。
|
項目 |
2025年度 |
2026年度の答申 |
|---|---|---|
|
京都府最低賃金 |
1,122円 |
1,180円 |
|
引き上げ額 |
― |
58円 |
|
引き上げ率 |
― |
約5.2% |
|
発効日 |
2025年11月21日 |
2026年11月16日予定 |
京都府の最低賃金は、前年の1,122円から58円上昇する見込みです。厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金は全国47都道府県すべてで引き上げが答申され、全国加重平均は1,177円となっています。
なお、2026年9月7日時点では「答申」の段階です。発効予定日は11月16日とされていますが、異議申出などの手続きを経て正式に決定されるため、今後公表される京都労働局の最新情報も確認しておきましょう。
京都府の最低賃金1,180円はいつから?
現在予定されている発効日は、
2026年11月16日(月)
です。
つまり、正式にこの日付で決定された場合、11月16日以降に京都府内で働く労働者については、原則として時給1,180円以上の賃金を支払う必要があります。
最低賃金は、パートやアルバイトだけでなく、正社員、契約社員、嘱託社員など、原則として雇用形態を問わず適用されます。
「アルバイトの時給は1,180円以上だから大丈夫」と考えるのではなく、月給制の従業員も含めて確認することが重要です。
月給制の正社員も最低賃金の確認が必要

月給制の場合、
最低賃金の対象となる月給 ÷ 1か月平均所定労働時間
で1時間当たりの賃金を算出し、最低賃金以上になっているかを確認します。厚生労働省も、月給制の場合は月給を1か月平均所定労働時間で割って比較する方法を示しています。
例えば、年間の所定労働時間から計算した1か月平均所定労働時間が160時間の場合、
1,180円 × 160時間 = 188,800円
となります。
このケースでは、最低賃金の計算対象となる給与が月額188,800円を下回っていると、最低賃金を満たしていない可能性があります。
ただし、ここで注意したいのが、給与明細の「総支給額」をそのまま使うわけではないという点です。
厚生労働省では、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金、通勤手当、家族手当、精皆勤手当などは最低賃金を確認する際の対象賃金から除外するとしています。
そのため、
「総支給額は20万円を超えているから問題ない」
と思っていても、実際に計算すると最低賃金を下回るケースがあります。
特に、基本給が低く各種手当の割合が大きい会社は要注意です。
最低賃金58円アップで人件費はいくら増える?
今回の改定を経営面から考えると、重要なのが人件費への影響です。
例えば、時給1,122円で月160時間勤務している従業員を1,180円へ引き上げると、
58円 × 160時間 = 月9,280円
の増加となります。
年間では、
9,280円 × 12か月 = 111,360円
です。
同じ条件の従業員が5人いれば、単純計算でも年間の給与負担は、
556,800円
増えることになります。
さらに会社側では、給与だけでなく社会保険料などの負担が増える可能性もあります。
最低賃金への対応を「給与を58円上げれば終わり」と考えるのではなく、年間の人件費がどれだけ変わるのかまで確認しておくことが重要です。
京都の中小企業が最低賃金引き上げ前に確認したい3つのこと
まずは、パート・アルバイト・正社員を含む全従業員について、改定後の最低賃金1,180円を下回る人がいないか確認しましょう。特に月給制の場合は、基本給だけを見るのではなく、最低賃金の計算対象となる給与と年間所定労働時間から時給換算する必要があります。
次に、給与を変更する従業員について、給与計算システムや雇用契約、賃金規程などに変更が必要ないかを確認します。
そして最も重要なのが、人件費増加を経営計画に反映することです。
最低賃金は近年継続的に上昇しています。今回だけ対応するのではなく、「来年さらに上がった場合でも利益を確保できるか」「価格転嫁や業務効率化が必要ではないか」まで考えておく必要があります。
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最低賃金への対応で「業務改善助成金」を使える可能性も
2026年度は、最低賃金引き上げへの対応とあわせて、業務改善助成金も確認しておきたい制度です。
業務改善助成金とは、事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に対して、その費用の一部を助成する制度です。2026年度は最大600万円の助成上限が設定されています。
2026年度の主な要件は、申請する事業場が中小企業・小規模事業者であること、事業場内最低賃金が2026年度の地域別最低賃金未満であること、解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないことなどです。
京都府の場合、新しい最低賃金は1,180円と答申されています。
例えば現在、事業場内最低賃金が1,122円の会社が1,180円へ引き上げる場合、
58円の引き上げ
となるため、金額だけを見ると業務改善助成金の「50円コース」に該当する可能性があります。
もちろん、賃金引き上げだけで自動的に助成金を受けられるわけではありません。設備投資などを含む各種要件を満たしたうえで申請する必要があります。
業務改善助成金はいくら受けられる?
2026年度の業務改善助成金には、
|
コース |
賃金引き上げ額 |
助成上限 |
|---|---|---|
|
50円コース |
50円以上 |
最大130万円 |
|
70円コース |
70円以上 |
最大300万円 |
|
90円コース |
90円以上 |
最大600万円 |
があります。
実際の助成上限額は、賃金を引き上げる労働者数や事業場規模、特例事業者に該当するかなどによって変わります。
また、助成対象となるのは単なる賃上げ費用そのものではありません。
例えば、POSレジシステムの導入による在庫管理時間の短縮、業務システムの導入、機械設備の導入など、生産性向上につながる設備投資等が対象となります。一定の要件を満たす特例事業者では、PC・スマートフォン・タブレットなどが対象となる場合もあります。
京都府の企業は業務改善助成金の申請期限に注意
ここは特に重要です。
2026年度の業務改善助成金は、9月1日から受付が始まっています。
申請期限は、
「地域別最低賃金の発効日前日」または「2026年11月30日」のいずれか早い日
です。
京都府の最低賃金の発効予定日が11月16日のため、予定どおり正式決定された場合には、
2026年11月15日まで
が申請期限となります。
さらに、賃金引き上げや設備投資についても実施時期などのルールがあります。特に先に設備を購入したり、先に賃金を引き上げたりすると対象外になる可能性があるため、「とりあえず賃上げして、あとから助成金を申請しよう」という進め方には注意が必要です。
業務改善助成金の利用を考えている場合は、早めに対象になるか確認しておくことをおすすめします。
最低賃金アップは「人件費」だけでなく資金繰りまで考える
最低賃金の引き上げは、労務だけの問題ではありません。
給与が増えれば、人件費が増えます。
人件費が増えれば、会社の利益や資金繰りにも影響します。
そのため、
「最低賃金を満たしているか」
だけでなく、
「年間で人件費がいくら増えるのか」 「今の粗利益で吸収できるのか」 「価格改定や生産性向上が必要ではないか」
まで数字で確認しておくことが重要です。
特に従業員数が多い企業ほど、時給数十円の差でも年間では大きな金額になります。
最低賃金改定をきっかけに、今後1~3年間の人件費と資金繰りを一度シミュレーションしてみるのもよいでしょう。
まとめ|11月16日に向けて早めに準備を

2026年度の京都府最低賃金は、現在の1,122円から1,180円へ58円引き上げられ、11月16日に発効する予定です。
企業側では、最低賃金ぎりぎりのアルバイトやパートだけでなく、月給制の正社員も含めて給与水準を確認する必要があります。
また、今回の賃上げにより人件費負担が増える企業では、2026年度の業務改善助成金を利用できる可能性があります。
ただし、助成金には申請期限や設備投資・賃上げを行うタイミングなど細かな条件があります。
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「自社の給与が最低賃金を下回っていないか確認したい」
「最低賃金アップで人件費がどれくらい増えるか知りたい」
「業務改善助成金を利用できるか確認したい」
「今後の人件費増加を踏まえて資金繰りを見直したい」
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