こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!
中小企業でも社員の定着やモチベーション向上のために「福利厚生」を重視する動きが広がっています。
しかし、「どこまでが経費として認められるのか」「税務上の扱いはどうなるのか」が曖昧なまま制度を導入してしまうと、思わぬ課税リスクにつながることもあります。
今回は、福利厚生の「税務上の経費になる範囲」と「労務的な注意点」をわかりやすく解説します。
■ 福利厚生は“全員を対象にしているか”が重要
福利厚生費として経費計上できるかどうかの大前提は、特定の社員だけでなく、全従業員を対象としているかです。
たとえば、次のようなケースは経費として認められやすい代表例です。
-
社員旅行(全員参加が原則で、社会通念上妥当な金額)
-
慶弔見舞金(一定の基準で支給)
-
健康診断・人間ドック(全社員を対象)
-
福利厚生施設(食堂、休憩室など)
-
永年勤続表彰(勤続年数に応じた一律基準)
これらは従業員の福利増進を目的とする支出であり、経費(損金)として扱われます。
■ 税務上“経費にならない”福利厚生の例
一方で、次のような支出は「福利厚生」ではなく「給与」と見なされ、課税対象となることがあります。
-
一部の役員・社員のみが受けられる高額な旅行や会食
-
役員の家族への贈答や祝い金
-
社員の私的利用が中心のスポーツジム代・住宅費補助
-
給与の一部を“福利厚生費”として処理している場合
このように、“個人の利益”とみなされる支出は給与扱いになり、所得税・社会保険料の対象になります。
■ 労務的な視点:福利厚生は社員の「安心感」を支える
福利厚生は、税務上の節税効果だけでなく、社員のエンゲージメント向上にもつながります。
たとえば、以下のような制度を整えることで、定着率や採用力アップが期待できます。
-
住宅手当や通勤手当(ルールを明確化)
-
健康管理制度(健康診断・カウンセリング)
-
教育研修制度(スキルアップ支援)
-
育児・介護支援制度(休暇や短時間勤務)
ただし、対象者や基準を明文化しておくことが重要です。労働条件通知書や就業規則に明記することで、トラブル防止にもなります。
■ 税務と労務の“境界線”を整理しよう
| 観点 | 福利厚生費として経費計上できる | 給与(課税対象)とされる |
|---|---|---|
| 対象者 | 全社員が対象 | 一部の社員や役員のみ |
| 支給目的 | 福利増進・労働環境改善 | 個人の経済的利益 |
| 社会通念上の妥当性 | 常識的な範囲 | 高額・私的利用中心 |
| 書類整備 | 就業規則・社内規程に明記 | 曖昧・個別対応が多い |
このように、「誰のため」「何のための支出か」を説明できるかどうかが、経費判断の大きなポイントです。
■ まとめ:福利厚生の整備は「経費の最適化」と「人材定着」の両立
福利厚生を上手に設計すれば、税務面での負担軽減だけでなく、社員満足度の向上にもつながります。
ただし、経費処理を誤ると追徴税のリスクもあるため、税理士と社労士の連携による運用設計が理想的です。
税理士法人ビジョン・ナビでは、
「税務と労務の両面から“経営を強くする福利厚生制度”」を提案しています。
制度の見直しや経費処理に不安がある方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。
▼ 無料相談はこちらから
社員が安心して働ける環境づくりと、無駄のない経費運用をサポートします。
