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消費税の計算方法|自社で計算して大丈夫?税理士に相談すべき3つの判断基準

税理士 林遼平

税理士 林遼平

「自分で計算しているけど、本当に合っている?」という不安

「会計ソフトで消費税額は出ているけれど、本当にこの金額で合っているのだろうか」
「決算前になると、消費税の納税額が思ったより多くて不安になる」

中小企業経営者や個人事業主の方から、こうした声はよく聞かれます。
消費税は毎月の売上・仕入に関わる身近な税金ですが、計算方法や適用制度を正しく理解していないと、過不足や申告ミスにつながりやすい税目でもあります。

この記事では、

  • 消費税の基本的な計算方法

  • 自社で計算する際の注意点

  • 税理士に一度確認した方が安心な判断基準

を整理し、「自社対応で進めて問題ないか」を冷静に判断できる材料をお伝えします。

① 消費税の計算方法の基本を整理しよう

消費税は「売上にかかる税」ではない

消費税という名前から、「売上に10%をかけて納める税金」と誤解されがちですが、実際は少し違います。
事業者が納付する消費税は、

売上にかかる消費税 − 仕入や経費に含まれる消費税

という考え方で計算されます。
この仕組みを「仕入税額控除」といい、実務では非常に重要なポイントです。

たとえば、

  • 売上で預かった消費税:100万円

  • 仕入や経費で支払った消費税:60万円

であれば、納税額は差額の40万円になります。

原則課税と簡易課税の違い

消費税の計算方法には、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 原則課税:実際の仕入・経費に含まれる消費税を集計して計算

  • 簡易課税:業種ごとに定められた「みなし仕入率」で計算

簡易課税は計算がシンプルになる一方、
「適用できる条件」や「届出期限」を守らないと使えません。

この選択を誤ると、本来より多く納税してしまうケースもあります。

(参考:国税庁「簡易課税制度

② 自社で消費税を計算する際によくある注意点

会計ソフト任せにしてしまうリスク

最近は会計ソフトが自動で消費税額を計算してくれますが、
その前提として「入力が正しいこと」が必要です。

実務でよくあるのが、

  • 非課税・不課税取引の区分ミス

  • 軽減税率(8%)と標準税率(10%)の混在

  • 消費税区分を「対象外」のまま入力している

といったケースです。
ソフトは便利ですが、判断まではしてくれない点に注意が必要です。

インボイス制度以降、判断が複雑に

インボイス制度開始後は、

  • 仕入先が適格請求書発行事業者かどうか

  • インボイスが保存されているか

によって、仕入税額控除ができるかどうかが変わります。

「経費としては問題ないが、消費税は控除できない」
という取引が増えており、以前と同じ感覚で計算しているとズレが生じやすくなっています。

③ 税理士に相談すべきか判断する3つの基準

判断基準① 売上規模や取引内容が変化した

次のような変化があった場合は、一度確認しておくと安心です。

  • 売上が1,000万円前後で推移している

  • 課税事業者・免税事業者の切り替わり時期

  • 新しい事業や取引形態を始めた

消費税は「基準期間」や「特定期間」によって課税判定が行われるため、
自己判断だけで進めると見落としが起こりやすくなります。

判断基準② 簡易課税・原則課税の選択に迷っている

「簡易課税の方が楽そうだから」という理由だけで選ぶと、
結果的に不利になることもあります。

業種や利益構造によって、有利・不利は大きく変わるため、
シミュレーションだけでも専門家に確認する価値はあります。

判断基準③ 消費税の納税額に違和感がある

  • 思っていたより納税額が多い

  • 毎年金額のブレが大きい

こうした場合、計算方法や区分処理に原因があることも少なくありません。
「何となく不安」を感じた時点で、一度立ち止まることが大切です。

④ ポイント整理|自社対応と専門家確認の目安

自社対応で問題ないケース

  • 売上・取引内容がシンプル

  • 会計処理に慣れており、消費税区分も理解している

  • 過去に税理士チェックを受けたことがある

専門家に確認した方が安心なケース

  • 課税・免税の判定ラインに近い

  • インボイス対応に不安がある

  • 簡易課税の適用可否・有利不利を判断したい

  • 納税額に毎年モヤっとした違和感がある

⑤ よくある質問(Q&A)

Q1. 消費税の相談だけでも税理士に聞いていいのでしょうか?

はい、決算全体の依頼でなくても、
「消費税の考え方を確認したい」「計算が合っているか見てほしい」
といったスポット相談を受けている事務所も多くあります。

Q2. 相談するタイミングはいつが良いですか?

決算直前よりも、決算前の余裕がある時期がおすすめです。
制度選択や修正が必要な場合、早めの方が対応しやすくなります。

まとめ|「自社で大丈夫か」を判断できることが大切

消費税の計算は、
「必ず税理士に任せなければならない」ものではありません。
一方で、条件次第では思わぬ損やリスクが生じやすい税目でもあります。

重要なのは、

  • 自社で対応できる範囲

  • 一度確認した方が安心なポイント

を把握したうえで判断することです。

もし「このケースはどうだろう?」と迷う場面があれば、
専門家に一度確認するという選択肢もある
その程度の距離感で考えてみると、不安を減らしやすくなります。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。