法人利益が出過ぎたときの対策|税負担を軽減する方法とはサムネイル画像

法人利益が出過ぎたときの対策|税負担を軽減する方法とは

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!
「思った以上に利益が出て、嬉しいけれど税金の負担が心配…」そんな悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。

法人の利益が大きくなると、それに比例して法人税や地方法人税、住民税などの税負担も増加します。節税対策をせずに決算を迎えてしまうと、キャッシュアウトが大きくなり、資金繰りが苦しくなるリスクも。

この記事では、法人利益が出過ぎたときに検討すべき税負担軽減の方法 をわかりやすく整理しました。決算前に確認しておくことで、余計な税負担を抑え、会社の成長に必要な資金を確保できるはずです。

法人利益が出過ぎると何が起こる?

法人税の増加

法人税率は所得に応じて課税されます。特に中小企業でも所得800万円を超える部分については税率が高くなるため、利益が出過ぎると想定以上の税額になることがあります。

資金繰りの悪化

決算期末に利益が大きく出た場合、税金として現金が大量に流出します。黒字倒産の典型的な要因の一つが「利益に見合うキャッシュが残っていない」ケースです。

税務調査リスクの増加

利益が急に増えると、税務署に注目されやすくなります。適切な対策をとらないまま利益を計上すると、余計な調査リスクを抱えることにもつながります。

利益が出過ぎたときの具体的な対策

1. 設備投資の前倒し

将来必要になる機械やシステムの導入を前倒しすることで、減価償却費を計上できます。生産性向上設備投資促進税制などの税制優遇も活用可能です。

2. 福利厚生費の充実

社員旅行や研修、健康診断など、福利厚生を充実させることで経費に算入できます。従業員のモチベーション向上にもつながり、会社の成長基盤を強化できます。

3. 退職金制度・中小企業倒産防止共済の活用

役員や従業員の退職金積立を行うと、損金算入が可能です。さらに「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」は、掛金を全額損金算入でき、節税と資金繰り安定の両方に効果があります。→ 中小機構|経営セーフティ共済

4. 小規模企業共済の利用

役員個人の退職金準備として加入できる制度で、掛金は所得控除となり、法人税だけでなく所得税対策にもなります。

5. 決算賞与の支給

従業員に対して決算賞与を支給すれば、その分損金算入できます。ただし「通知」「支給」「経理処理」が決算期末までに完了している必要があります。

ポイント整理(チェックリスト)

  • 設備投資を前倒しできないか

  • 福利厚生の充実に使えないか

  • 退職金制度や倒産防止共済で積立できないか

  • 小規模企業共済の活用で役員個人の税負担を減らせないか

  • 決算賞与の支給で利益調整できないか

よくある質問Q&A

Q1:利益が出たときに「寄付金」で節税は可能ですか?

A1:寄付金は損金に算入できますが、法人が損金算入できる金額には上限があります。無制限に経費にできるわけではないので注意が必要です。

Q2:決算直前でもできる対策はありますか?

A2:可能です。たとえば「決算賞与」「共済加入」「一部の設備投資」は短期間でも対応できます。ただし制度やルールを守る必要があるため、税理士に確認することをおすすめします。

Q3:税金を支払ったらお金がほとんど残りません。なぜですか?

A3:主な原因として「利益率の低さ」が考えられます。特に借入金の返済は経費に算入できないため、利益が出ていても実際のキャッシュが手元に残りにくいケースがあります。その結果、税金を支払うと資金不足を感じやすくなるのです。

まとめ

法人利益が大きく出たときは、税金が増えるだけでなく、資金繰りや税務調査リスクにも直結します。
だからこそ、設備投資・福利厚生・共済制度・決算賞与 などを活用して、計画的に利益をコントロールすることが大切です。

税理士法人ビジョン・ナビでは、会社の状況に応じた最適な節税プランを一緒に設計しています。無料相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください!

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。

関連する他の記事をよむ