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持ち株比率とは?中小企業経営者が知っておきたい基礎知識と注意点

税理士 林遼平

税理士 林遼平

 

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「会社の持ち株比率って、どのくらい意識していますか?」

中小企業の経営者や事業承継を考えている方にとって、「持ち株比率(もちかぶひりつ)」は見過ごせない大切なテーマです。持ち株比率は、単に“株を何%持っているか”という数字だけではなく、会社の意思決定権や相続・贈与にも大きく関係してきます。

この記事では、持ち株比率の基本的な意味から、経営や相続に与える影響、注意すべきポイントまで、わかりやすく解説します。

持ち株比率とは?基本のキ

持ち株比率の定義

持ち株比率とは、株主が会社全体の株式のうち、どれだけの割合を保有しているかを示す数字です。計算式は以下の通り:

持ち株比率(%)= 自分の持ち株数 ÷ 発行済株式総数 × 100

たとえば、自社の発行済株式数が1,000株で、自分が600株持っていれば、持ち株比率は60%になります。

意思決定における影響

持ち株比率は、株主総会や会社の重要な意思決定に直接影響します。たとえば:

  • 50%超:普通決議が単独で可決できる

  • 67%超:特別決議(定款変更・合併など)も可能

  • 100%:他株主の影響を受けず、すべての決議を単独で行える

このように、経営における「発言力」と直結しているのです。

なぜ持ち株比率が重要なのか?

経営権の安定

持ち株比率が分散しすぎると、経営の意思決定がスムーズに進まなかったり、他株主の影響を強く受けたりすることがあります。逆に、経営者が一定以上の持ち株比率を保つことで、経営権を安定させることができます。

事業承継への影響

後継者への株式移転(相続・贈与)を行う際にも、持ち株比率は非常に重要です。贈与税や相続税の評価額に関係するほか、少数株主が増えることで、意思決定の煩雑化を招くリスクもあります。

節税との関係

株式の評価額は持ち株比率によって変動します。大株主(会社全体の株式の50%以上や議決権の過半数など)とその他の株主では、株式の評価方法が異なるため、税務上の扱いも変わります。

持ち株比率の把握と見直しのポイント

現状を正しく把握する

まずは現在の株主構成と持ち株比率を正確に把握しましょう。特に同族会社では、親族間での持ち株比率のバランスが重要です。

定期的な見直しが必要

会社の成長や世代交代に合わせて、持ち株比率を調整することも大切です。経営者が高齢化しているのに、後継者に株式をまったく移していないケースなどは、早急な対応が求められます。

ポイント整理:持ち株比率に関する基礎知識

持ち株比率 意味・影響
1%〜33%未満 少数株主。経営には大きな影響を与えにくい
33%以上〜50%未満 拒否権を持つことが可能(重要な決議の阻止など)
50%以上〜66.6%未満 普通決議の可決が可能(経営の主導権)
66.7%以上〜100% 特別決議も単独で可決できる(定款変更など)

よくある質問Q&A

Q1. 株式を分散して持っていると、どんなリスクがありますか?

A. 経営の方向性が不安定になる可能性があります。 株主同士の意見が割れた場合、意思決定が遅れたり、経営者としての権限が制限されることがあります。

Q2. 後継者に株式を渡すタイミングはいつが良いですか?

A. できるだけ早期の準備がおすすめです。 贈与税や相続税の対策、株価が低いうちに移転するなど、早めの計画が後々のトラブル回避につながります。

まとめ:持ち株比率は経営と相続のカギ

持ち株比率は、会社経営の安定や事業承継の成功に直結する重要な要素です。中小企業では、経営者個人の意思が強く反映されるからこそ、持ち株の配分は計画的に行う必要があります。

当事務所では、株式の贈与・相続・持ち株整理など、法人経営と税務の両面からご相談を承っています。

まずはお気軽に、無料相談をご利用ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。

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