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予定納税はなぜ必要?税制度の仕組みと目的

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

毎年6月頃に届く「予定納税のお知らせ」。突然の通知に「なぜ前払いが必要なの?」「確定申告で精算するのに意味があるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。特に中小企業経営者や個人事業主にとって、納税は資金繰りに直結するため、その仕組みを正しく理解することがとても重要です。

この記事では、予定納税の必要性や制度の目的、導入背景についてわかりやすく解説します。読み終えれば、「予定納税=ただの前払い」ではなく、税制度としての意味を理解でき、納得感を持って対応できるようになるはずです。

予定納税の仕組みとは?

前払いで納税負担を平準化

予定納税とは、翌年の確定申告で支払う所得税をあらかじめ前払いする制度です。前年の所得税額を基準に計算され、原則として7月と11月の2回に分けて納付します。

もし予定納税がなく、確定申告時にまとめて税金を支払うと、数十万円から数百万円の負担が一度にのしかかります。予定納税を導入することで、納税者が計画的に資金を準備できるようにすることが目的なのです。

精算の仕組み

翌年の確定申告で実際の所得税額と照らし合わせ、過不足を精算します。払いすぎた場合は還付、不足していれば追加納付となります。つまり予定納税は「仮払い」の性格を持つのです。

なぜ予定納税が必要なのか?

① 納税者の負担軽減のため

所得税は累進課税であるため、所得が増えると納付額も大きくなります。事業所得を得ている方にとって、一括での納付は資金繰りを圧迫しかねません。予定納税により分割での納付が可能となり、経営や生活への負担が和らぎます。

② 税収の安定確保のため

国や自治体にとっても、予定納税は重要です。税収が確定申告の時期に一気に偏るのを防ぎ、安定的な税収を確保できる仕組みになっています。財政運営の安定化という点でも、大きな役割を果たしています。

③ 経営者に計画的な納税意識を持たせるため

事業者は毎年の利益変動が大きいため、納税資金をあらかじめ意識して準備することが重要です。予定納税は、経営者に資金繰りと納税を結びつけて考える習慣を促す制度でもあります。

制度の目的を整理すると

予定納税の目的を整理すると以下のようになります。

  • ✅ 納税者の一括負担を軽減

  • ✅ 国・自治体の税収を安定化

  • ✅ 経営者・事業者に資金繰りを意識させる

  • ✅ 納税の計画性を高める

つまり、予定納税は「納税者と行政の双方にメリットがある制度」なのです。

よくある質問Q&A

Q1. 予定納税は必ず支払わなければいけないの?

A. 原則として、前年の所得税額が15万円以上の場合は必要です。ただし、業績悪化などで当年の所得が大幅に減る見込みがある場合は「減額申請」によって納税額を減らすことが可能です。

Q2. 予定納税を支払うと資金繰りが厳しいのですが…

A. 予定納税は確定申告で精算されるため、払いすぎれば還付されます。ただし、資金繰りが逼迫する場合は、税理士に相談して減額申請や節税策を検討するのがおすすめです。

まとめ|予定納税を理解して計画的に資金管理を

予定納税は、単なる「税金の前払い」ではなく、

  • 納税者の負担を和らげ

  • 国や自治体の税収を安定させ

  • 経営者に資金管理の意識を持たせる

という大切な役割を持っています。

中小企業経営者や個人事業主にとって、予定納税は避けて通れない制度です。しかし正しく理解すれば、不安を軽減し、経営にも役立てることができます。

税理士法人ビジョン・ナビでは、予定納税の仕組み・減額申請・資金繰りに関する無料相談を承っています。「うちの場合はどのくらい必要?」と気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。