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法人成りするタイミングで損しないための税務・社会保険設計

税理士 林遼平

税理士 林遼平

こんにちは、税理士法人ビジョン・ナビです!

「個人事業から法人に切り替えるタイミングっていつがベスト?」
「法人化すると税金や社会保険の負担が増えそうで不安…」

こうした悩みを持つ経営者は少なくありません。
実は、法人成りのタイミングで税務や社会保険を正しく設計することで、余計な負担を防ぎ、節税効果も得られます
この記事では、損しない法人成りのためのポイントを整理し、経営者が押さえておくべき税務・社会保険の設計について解説します。

1. 法人成りのメリットと注意点

1-1. 法人成りのメリット

  • 税率の低下:所得が大きい場合、法人税の方が累進課税の所得税よりも有利になることがあります

  • 社会保険加入で信用力アップ:法人にすると社会保険加入が必須になり、個人事業主よりは対外的な信用が向上します

  • 経費計上の柔軟性:役員報酬や退職金、福利厚生など、経費として計上できる項目が増えます

1-2. 注意点

  • 社会保険料の負担が増える(個人事業主時代より負担が増えるケースがある)

  • 法人成り後の設立費用や事務手続きが増える

  • 法人化タイミングを誤ると前年の所得とのバランスで税負担が増えることも

2. 損しないための税務設計ポイント

2-1. 法人成りのタイミング

  • 所得が800万円以上になる年度を目安に法人化を検討することで、累進課税の高額税率を回避できるケースがあります

  • 年度途中で法人化する場合は、事業年度をまたぐ利益配分や役員報酬の設定が重要です

2-2. 役員報酬の設定

  • 役員報酬は経費として計上可能ですが、税務上「定期同額」が原則です

  • 設立初期は利益が読みにくいため、適正な報酬額を税理士とシミュレーションすることが損を防ぐコツです

2-3. 退職金や福利厚生の活用

  • 法人成り前から退職金や福利厚生制度を設計しておくと、節税効果を法人化初年度から得られる

  • たとえば、個人事業時代の利益を法人に移行するタイミングで退職金を支給することも可能です

3. 社会保険設計のポイント

3-1. 健康保険・厚生年金の加入

  • 法人化すると役員も社会保険に加入するため、会社負担+個人負担が発生します

  • 役員報酬と社会保険料のバランスを考え、総負担を最小化する設計が重要です

3-2. 従業員の社会保険管理

  • 従業員がいる場合は、社会保険の加入や給与計算の仕組みも整備する必要があります

  • 労務と税務を連携させた設計が、法人成り後のトラブル回避につながります

4. よくある質問Q&A

Q1:個人事業の利益が少なくても法人化すべき?
A:利益が少ない場合は、法人化による社会保険料負担が増えるケースもあります。利益予測を立て、税理士とシミュレーションするのがおすすめです。

Q2:法人化する最適なタイミングは?
A:所得や事業規模、資金繰りに応じて異なります。一般的には所得800万円以上の年度を目安に検討しますが、個別の状況で判断が必要です。

Q3:法人化すると赤字でも税金がかかる?
A: はい、かかります。法人はたとえ赤字でも「均等割」という税金(年間最低7万円)が発生します。
これは法人が存在するだけで課される税金です。
ただし、赤字の場合は利益に対する税金そのものはかかりません。
このため、継続的に利益が見込める段階で法人化するのが望ましいといえます。

5. まとめ|法人成りは“タイミングと設計”が重要

法人成りは、単なる形の変更ではなく、税務・社会保険・給与設計を一体で考えることが重要です。
タイミングや設計を誤ると、税負担や社会保険料の増加で損をすることもあります。

税理士法人ビジョン・ナビでは、法人化のタイミング診断・税務シミュレーション・社会保険設計の支援を行っています。
「法人成りで損したくない」「最適な節税をしたい」という経営者は、ぜひ無料相談をご活用ください。

税理士 林遼平
執筆者:税理士 林遼平
林 遼平(はやし・りょうへい)税理士登録番号:124948号 税理士法人ビジョン・ナビ代表社員。京都出身。大学在学中に公認会計士試験に合格し、東京の監査法人にて上場企業の監査業務を担当。地元京都に戻り、平成29年より現法人の代表社員に就任。税務・会計に加え、IT導入支援や経営計画、労務対応にも精通。公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士の4資格を保有し、中小企業の経営支援に力を注いでいる。